「方言コスプレ」の時代 - ニセ関西弁から龍馬語まで

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「方言コスプレ」の時代 - ニセ関西弁から龍馬語まで

  • 著者名:田中ゆかり
  • 価格 ¥3,080(本体¥2,800)
  • 岩波書店(2023/09発売)
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  • ISBN:9784000248709

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内容説明

関西人でもないのに「なんでやねん」とつっこむ.九州人でもないのに「お引き受けしたでごわす」と男らしく受け止める──こんな方言コスプレが旬の話題となって久しい.方言の価値の変遷,小説・マンガ・TVドラマなど創作物における方言イメージの蓄積と流通.意識調査とコンテンツ分析から,日本語社会のいまを読み解く.

目次

序章 「方言コスプレ」にみる「方言おもちゃ化」の時代
第1章 方言コスプレの背景と実態
そうやねん,~だべ,~たい
――「打ちことば」にみる方言コスプレ――
本方言,ジモ方言,ニセ方言
――首都圏若年層における三つの方言――
第2章 方言の価値の変遷
「方言を笑うな」
――国家の方針と方言コンプレックス――
「方言話せるって幸せ」
――方言がプレステージへ――
第3章 方言ステレオタイプの形成と流通――意識調査と創作物から
おもしろい,素朴,男らしい
――さまざまな方言ステレオタイプ――
「首都圏・北海道型」から「沖縄型」まで
――方言/共通語意識と地域――
第4章 坂本龍馬はいつから土佐弁キャラになったのか
方言指導はいつ始まったのか
――「大河」と「朝ドラ」の方言――
幕末ヒーローと方言
――龍馬,西郷,勝海舟――
方言ヒーロー・龍馬の誕生 pdf
――『汗血千里駒』から『竜馬がゆく』まで――
第5章 メディアと方言
放送はいつ方言を取り入れたのか
――NHK「方針」の変遷を読む――
九州弁,広島弁,土佐弁
――「男(おとこ)弁」とマス・メディア――
終章 「方言コスプレ」は東京勝手な現象か?
「方言萌え」の限界と可能性
――方言イメージの地域間温度差を超えて――
方言主流社会の「方言コスプレ」
――未来予想図としての首都圏若年層――
あとがきにかえて
参考文献一覧
付表1,2,3

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

コットン

77
方言コスプレって言葉があるんだ。本書の内容は方言コスプレを時代の変遷や分析的手法などを使って明らかにしていくいたって真面目な本です。若年層においては「本方言」「ジモ方言(地元の方言)」「ニセ方言」という3つの方言があるらしい。また表やグラフや写真を使って一般の読者にも関心を促している。2023/07/17

鉄之助

20
 初代「方言ヒーロー」としての坂本龍馬、「土佐弁キャラ」を確立させた司馬遼太郎のくだりがグッときた。その背景には、1968年が「明治百年」であり、GDPで世界第2位となった「イケイケ日本」の当時の上り調子の時代の空気があった。高度経済成長の波に乗って上京した若者たちが、方言ヒーロー龍馬を自分達に重ね、司馬遼太郎作品を強烈に支持したのだ。  そして、来年はちょうど「明治150年」。NHKでは大河に西郷隆盛が再び登場する。HNKの戦略の匂いプンプンだが、2018年は、方言が再びスポットを浴びそうな気配十分。 2017/12/14

onasu

9
何らかの目的で、方言っぽい言い回しをすることを「方言コスプレ」と言っています。そう聞くと、少なからず使っているかな。ただ、これも首都圏在住、共通語話者によるようですが。  面白く、且つ教養にも富んだ一冊でした。いつの間にか方言に対する扱いが変わっていた、沖縄の言葉をよく耳にするようになったのは、「ちゅらさん」の放送以来、とか。今では既製概念の龍馬の土佐弁の、そこに至る過程も興味深かったです。  新書なら、もっと売れていたでしょう。もう少しコンパクトにまとめられていた方が良かったように思われます。2012/01/28

たいそ

7
文学、テレビ(大河ドラマ、連続テレビ小説)での方言の採用の変遷や、西郷隆盛と大久保利通の方言キャラの扱われ方の違いは興味深かった。一方で方言コスプレの受容に地域差が生じる理由や、なぜ名古屋弁があまり出てこないのかといったあたりをさらに知りたい。2011/11/16

Shosei

4
方言とは本来、一言語が伝播する過程で地理的歴史的に適度の孤立を保ち、長い時間をかけて分化していった結果、各地で独自の表現が創られた現象と理解していました。戦後、分化した言語の多様性を国家やマスコミが共通語という統一の型にはめようとしました。やがて、その均一性に抗うように、方言が、地域性でなく「男らしさ」「女らしさ」「面白さ」等の個性の表出として使われるようにもなりました。これも、古来から色々形を変えてきた日本語という言語の、変遷の一過程ととらえてよいのでしょうか?そんなことを、本書を読んで考えました。2020/01/24

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