アルツハイマー病研究、失敗の構造

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アルツハイマー病研究、失敗の構造

  • 著者名:カール・ヘラップ【著】/梶山あゆみ【訳】
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • みすず書房(2023/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 960pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784622096290

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内容説明

インサイダーだけが知る、袋小路に陥ったアルツハイマー病研究の実情。この病の科学的理解の根本を見直す、良心的科学者による告発。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

72
アルツハイマー病の黒幕は何物か。発症に至る成り立ちにいくつか仮説はあるものの、定説がない。そして世界はいまだ有効な治療薬を手にしていない。その失敗はどこにあるのか。最大の原因は、アカデミア、製薬・バイオ産業界が「アミロイドカスケード仮説」に偏重し、この仮説をもとに設計された治験が莫大な投資のもとに行われ、他の仮説を排除してひたすら失敗を重ねてきたことにあるという。この本の主旨は、第1に単純な直線状の疾患モデルのアミロイドカスケード仮説では精査に耐えないということ。→2025/05/30

きゃれら

17
父はアルツハイマーと診断されていた。祖母は今考えると老人性痴呆の典型的な言動をしていた。遺伝のことを考えると自分にとっても極めて深刻なテーマでずーっと興味を持って話題を追っていた。そこへ、アミロイドカスケード仮説が行き詰まっているというトピックを知り、なのにそれを標的にした新薬が(ほとんど効かないのに)認可され、そして本書が登場した。脳にアミロイドがたくさんあってもボケない人がいる、とかいろいろ衝撃的な事実が書かれている。なぜ起こるのかが究明されていない病気に効く薬なんて開発されるわけはないよねえ。2024/06/10

kitten

11
図書館本。この秋は認知症や介護の本をたくさん読んできたが、この本が一番強烈。今まで主流で研究されていたアミロイドβやタウだけでアルツハイマーがわかる訳はない、とのこと。今までの研究がすべて無駄という訳ではないが、原点に戻ってやり直せ、と。うーん。学術的なところはかなり難解で、私にはどこまで正しいのかわからないところもあるが、アミロイドカスケードの理論から作られた薬がのきなみ失敗しているのは事実だし、今年承認された新薬も、決して夢の新薬ではない。果たして、研究者はこの大きな失敗を認めて方針転換できるのか?2023/10/31

人生ゴルディアス

8
別の本でもアミロイドカスケード仮説について批判されていて、本書が新刊に並んでいて手に取ってみたが、認知症患者の脳を調べたらプラークだらけ⇒プラークのたんぱく質をコードする遺伝子がダウン症の原因遺伝子と共通⇒マウスにプラークを増殖させたら認知機能が低下⇒アミロイドワクチンによってプラークを除去したら認知機能改善⇒パーティー! という一連の研究の成功が出そろう頃には、権威や産業構造が固まってしまっていて、誤ったKPIをもう誰も変えられなくなっていた、みたいな感じか。前世代が死に絶えるのを待つしかなさそう。2024/01/18

belier

5
アミロイドプラークをアルツハイマー病の主な原因とするのは誤りかもしれないという本は以前も読んだことがあるが、著者は具体的にそれを論証している。この仮説に拘り続ける研究機関、製薬業等への痛烈批判の書でもある。素人にも著者の主張は説得力があった。だが正しいかどうか判定できるわけでなく、もしかすると医学界の異端児のひがみかもしれないと思いもした。で、認証された抗アミロイドβ抗体新薬の最新記事を調べると、多くの人の治療が期待できる薬ではないと。よってこの本は信用してよさそう。でも医学への信頼はやや薄れてしまった。2023/11/05

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