内容説明
『同姓同名』が中国でベストセラー、TikTokで話題、中学生ビブリオバトルでチャンプ本に!
どんでん返しの名手が仕掛ける常識がひっくり返るエンタメミステリ短編集
SNSにも正義警察、正義中毒者が蔓延る現代ニッポン!
「あなたはそんなに正しいの?」
どんでん返された回数が多ければ多いほどあなたの頭は凝り固まっている!
もくじ:
「見て見ぬふり」教室のいじめ。僕は見て見ぬふりなんかできない!
「保護」コンビニの前で佇む制服姿の女性。彼女を一人にはできない!
「完黙」麻薬の売人。麻薬取締官に口を割るわけにはいかない!
「ストーカー」人を殺めたトイレに男を入れてはいけない!
「罪の相続」罪のない俺の息子が殺されたなんて許せない!
「死は朝、はばたく」刑務所から出てきたら普通の生活を送っていいのか!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
330
下村 敦史は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 正義が逆転する連作短編集、オススメは、「見て見ぬふり」&「死は朝、羽ばたく」です。 しかし王様のブランチでも紹介された著者の自宅が凄い!!!🏘 https://www.suumocounter.jp/chumon/report/jitsurei/entry/2023/07/21/103000 https://www.gentosha.jp/series/gyakutenseigi2023/09/07
イアン
206
★★★★★★★★☆☆技巧に満ちた下村敦史の短編集。過去に人を殺めた後悔を胸に刑務所を出た中年男・奥村。その直後に出所者を強請る少年らに絡まれるが、奥村の正体は…(「死は朝、羽ばたく」)。著者が下村敦史、タイトルに「逆転」と来れば、もうトリッキーな展開しか予想できない。序盤に提示される正義が、状況が反転する驚きこそ本作の醍醐味なので、余計な詮索や深読みをせずに読みたい。人物描写は浅く相変わらずSNSへの(著者自身の)毛嫌いが透けてみえるが、「死は朝、羽ばたく」は短編として浪費するのが惜しいほどの良作だった。2024/01/05
いつでも母さん
202
恐い怖い。何が正義か一瞬分からなくなる。イヤ‥とことん分からなくなってしまう。私の思う正義のなんと脆いことよ。6話そのどれもが「くぅ~」となってしまうしんどさが良いのか悪いのか。好みはラストの『死は朝、羽ばたく』見て見ぬふりとか、逆に監視社会の正義中毒‥現代社会の沼にドンドン引きずり込まれる感じがする昨今、この先が不安でならないよ・・でも、お節介も過ぎるとなぁ(汗)この齢になっても正直塩梅が難しい。2023/10/03
hirokun
194
星5 6つのエンタメミステリ短編。執筆の時期はさまざまであるようだが、どれも短い文章の中にどんでん返しが織り込まれており、非常に面白く読ませてもらった。 最近、ほかの作品でも感じたことだが、正義とは誰にとっての正義なのか?死刑の持つ意味とは?深く考えず、安易に自分の意見であるかのように錯覚したような暴論?こんなことを読み終わって考えさせられた。 本当に短編でありながら、良い作品を読ませてもらった。2023/09/22
しんたろー
173
新作はタイトル通り、正義をテーマに逆転(どんでん返し)を楽しむミステリが6作の短編集。下村さん作品は殆ど読んでいるが短編集は記憶にないので「おっ、想像していたよりも巧いなぁ」と言うのが第一印象。オチを効かせるために少々無理めな設定もあったが、40~50ページでテーマを浮き彫りにしつつ楽しませようという意図は理解できた。とは言え、熱い想いを盛り込んだ作風の下村さんが好きなので、段々と物足りなく感じていたら最後の『死は朝、羽ばたく』で納得…しっかりと熱い心情も描かれていて、これが書きたくて本作を出したのかな?2023/11/11