宗教右派とフェミニズム

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宗教右派とフェミニズム

  • 著者名:ポリタスTV/山口智美
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 青弓社(2023/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
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  • ISBN:9784787235251

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内容説明

2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件。

これを受けて企画・配信された『ポリタスTV』の「宗教右派と自民党の関係――ジェンダーと宗教」(前篇・後篇)は、5日間限定の無料公開で10万回以上再生され、大きな反響を巻き起こした。

この配信コンテンツをもとに、全編書き下ろしでジェンダーやセクシュアリティ、家族をめぐる政治、それと宗教右派との関わりをまとめるのが本書である。

1990年代から2000年代初頭のバックラッシュから、安倍政権以後の家族や女性やLGBTをめぐる政策と右派・宗教との関係までを、具体的な政策や運動、テーマにフォーカスして解説し、フェミニズムの立場・視点から問題点を検証する。

知られざる宗教右派の実像と1990年代から現在まで続く苛烈なバックラッシュの実態を明らかにする問題提起の書。

目次

はじめに

第1部 安倍政権以前――一九九〇年代後半から二〇〇〇年代初頭のバックラッシュ

バックラッシュのはじまり
 前史――ウーマンリブ、第二波フェミニズムの広がり
 優生保護法改悪運動と生長の家
 「家庭基盤充実政策」と、それに抵抗した女性運動
 「国際女性(婦人)年」と男女共同参画

一九九〇年代のバックラッシュ
 性教育バッシング
 選択的夫婦別姓への批判
  「日本の教育を考える母親の会」とは
 日本軍「慰安婦」問題と「新しい歴史教科書をつくる会」

「ジェンダーフリー」バッシング
 拡散する「カタツムリ論」
 男女共同参画推進条例と「日本時事評論」
 山谷えり子と「過激な性教育」キャンペーン
 都立七生養護学校(当時)の性教育に対する攻撃
 「産経新聞」が果たした役割
 都城市と統一教会
 統一教会の関係者らが福井県や富山県行政の男女共同参画推進員に
 男女共同参画図書や図書館蔵書もターゲットに

第二次男女共同参画基本計画(二〇〇五年)と「ジェンダーフリー」の削除

第2部 安倍政権以後――二〇〇〇年代中盤からのバックラッシュ

第一次安倍政権以降のジェンダー、セクシュアリティ、家族をめぐる政策と宗教右派
 教育基本法改悪と「家庭教育」の導入
 親学
 親守詩
 親学推進議員連盟
 家庭教育支援条例

夫婦別姓問題に対する右派の運動
 日本会議系の反対運動
 旧統一教会系の反対運動
 第五次男女共同参画基本計画(二〇二〇年)での夫婦別姓の後退

「女性活躍」「一億総活躍」
  トイレと女性活躍

官製婚活・少子化対策
 婚活議連、全国知事会、婚活・ブライダル業界
 企業コンサルタントと「企業子宝率」
 「女性手帳」から「ライフプラン教育」へ
 ライフプラン教育推しの右派シンクタンク
 「恋愛支援」と内閣府「壁ドン」研究会

プロライフと右派運動
 加賀市の「生命尊重の日」条例と「生命尊重センター」
 プロライフによる「こうのとりのゆりかご」「妊娠SOS」
 学校現場に浸透する旧統一教会系の禁欲教育

自民党改憲案
  日本会議系の女性に向けた改憲運動――『女子の集まる憲法おしゃべりカフェ』や憲法「かえるん♪」エコバッグ
 「美しい日本の憲法をつくる国民の会」と「家族」
 第二十四条改憲が意味するものと「家庭基盤充実政策」

性的マイノリティの権利と右派運動
 渋谷区同性パートナーシップ条例反対運動
 自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」の紆余曲折
 杉田水脈の「生産性」「男女平等妄想」「保育所コミンテルン」発言
 神道政治連盟と世界日報社のLGBT冊子
 LGBT理解増進法案をめぐる顛末
 包括的性教育とLGBTQ+批判
 トランスジェンダー差別の激化

「歴史戦」
 右派団体による北米や国連を舞台とした「歴史戦」活動
 「邦人がいじめられている」言説と右派による裁判
 海外居住者団体の「歴史戦」
 杉田水脈衆議院議員と「慰安婦」問題
 歴史修正本などの送り付けとラムザイヤー論文問題
 宗教右派と「歴史戦」

バックラッシュの政治を捉え直す

あとがき

解説 津田大介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

113
米共和党が同性愛やジェンダーフリーに反対する宗教団体と親和的なのは有名だが、日本でも深く政治に食い込んでいたとは。特に第二次安倍政権期には、旧統一教会と神道系政治団体が「家族を守る」を掲げて教育現場に浸透したプロセスを国民の大多数が知らなかった。リベラル派の失敗を衝き、自分たちこそ正義とのイメージを国民に浸透させた宣伝力は見事といえる。おかげで性別二元論に囚われたフェミニズムは動揺し、宗教右派の主張を女性が支持するのも珍しくなくなった。安倍暗殺事件を契機に、リベラルへの逆バックラッシュの可能性はないのか。2024/01/13

しんすけ

18
安倍晋三が殺されて明らかになったのは、自民党が「統一教会」や「生長の家」などの右翼と一心同体だったことだった。それも自民党議員たちの中枢を占めていることに愕然とさせられた。日本が女性蔑視の国と海外から言われても、これでは返す言葉もない。肝心の自民党員たちは屁の河童だろうけど… 彼らには日本をよくするよりも、裏金を積み重ねることのほうが大事なことに違いない。だから未だに家の因習に捕らわれて、夫婦別姓の運動も妨害する妄動を止めもしない。 2024/03/07

スイ

9
タイトルの宗教右派よりも自民党が中心だったが、ズブズブですもんねえ。 この20年ほど、自分たちに都合の良いあり方の女性や家族にしようと自民党と宗教右派がやってきたことが流れでよくわかる。 帰れ帰れ。 この令和に、そんなものもうお呼びじゃないのよ。2024/02/27

二人娘の父

8
エトセトラブックス・トークイベントも視聴し、著者らの問題意識をより鮮明に把握することができた。本書そのものは資料的な意味合いも大きく、著者らが持つ「熱」の部分は意図的に抑えられているように思う。端的には「あとがき」が重要。右派が一貫して拘ってきた「ジェンダーフリー」というキーワードに、フェミニズムの側が意識せずに引っ張られており、その結果、現在の焦点である「トランスヘイト」に有効な抵抗がしきれていないという、忸怩たる思いが伝わってくる。さらに「慰安婦」問題への「リベラル」の鈍感さにも貴重な言及がある。2023/10/13

吃逆堂

4
急ごしらえな事実の羅列という印象を読み始めた当初には抱いたが、個々に知っている事実でもここまで厚く積み重ねられると大きな説得力を帯び、現実のおぞましさに目眩がするよう。本書でも述べられているとおり、事態はなんら改善も好転もしていないが、本書がせめてその楔となることを願ってやまない。2024/03/04

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