内容説明
映画字幕翻訳の第一人者、戸田奈津子。生後まもなく戦争で父を亡くし、ずっと母娘二人三脚で生き抜いてきた。戦争に翻弄された少女時代、激動の昭和に映画を追い続けた青春時代、字幕翻訳者になる夢を諦めずに努力した20年にも及ぶアルバイト時代、40歳を超えてから夢を掴み年間50本もの字幕翻訳をこなした洋画黄金時代…。人生のほとんどを“映画=夢”に捧げて独身を貫き、大好きな映画とともに生きた彼女、多くのハリウッドセレブ達との華やかな交遊録も交えながら、その波乱万丈な人生に迫る自伝的エッセイ。
2022年に通訳を引退、『トップガン マーヴェリック』で来日したトム・クルーズとの知られざるエピソードも新たに収録。
※本作は文庫化に際し、2014年刊行の単行本に加筆修正を加えたものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tetsubun1000mg
13
コッポラ監督のエピソードから既視感を覚えてきたのだけど、読メデータを調べると2015年の単行本版で読んでいたのが分かる。 8年前の再読だったんだなあ。 でも今読んでも面白さは変わらない。 映画を見るのが大好きで、字幕翻訳も仕事を目指してあきらめない姿勢が素晴らしい。 海外の映画スターたちとのエピソードも楽しめるし、超大物スターほど人間性が素晴らしいのが伝わってくる。 フランシス・コッポラファミリー、トム・クルーズ、ロビン・ウィリアムズ達に信頼される通訳者としての付き合いも現実離れして面白い。2023/10/08
Himiko
8
私は若い頃、戸田奈津子と鳥飼久美子が憧れの人だった。映画字幕の第一人者、そして来日する有名ハリウッド俳優の通訳もしている。伸びやかで屈託のない笑顔の彼女は、一体どんな人だろうと読み出す。有名俳優とのエピソードも面白く、また字幕とはいかに難しいかと実感もさせられた。母と同じ年齢とは思えないバイタリティ。彼女の映画への情熱がそうさせているのだろうか。2023/10/11
赤ヒゲ
4
意外にも文章を書くのは苦痛だそうで、本書もインタビュー形式ですが、戸田奈津子さんの半生がダイジェストで楽しめます。字幕は女性という印象がありましたが、それは戸田さんが無から切り拓いてきたんですね。直訳では伝わらない字幕の妙を直感したのが「第三の男」だったとか!電話帳で調べて清水俊二氏に直接手紙を書いて字幕の世界の扉をたたき、シノプシス(あらすじ)翻訳の仕事がもらえるまでに10年!大作「地獄の黙示録」の字幕に大抜擢は、コッポラ監督の推薦だったと後で知ったとか!運命的な人との出会いの数々に圧倒されました。2023/08/25
サックーマ
1
さすが戸田奈津子。出てくる人が豪華すぎる。本当に好きでこの字幕の仕事をやってきたんだなという事が伝わってきた。 2024/03/14
spinoza
1
なんとまぁ、パワフルな女性なんだろう。ポジティブでエネルギッシュ。グイグイと前進していくイメージしか浮かんでこない。それでいて、ハリウッドスターたちとの交遊録にはお茶目さも垣間見える。人生を謳歌している様子に、すっかり元気をいただいてしまった。2023/11/29