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内容説明
アジア・太平洋戦争において、後景に退きがちな大陸や東南アジアでの戦闘。激戦や苛酷な統治が繰り広げられたその場所で暮らす人びとは、当時をどう語り継いでいるのか。そもそも私たちは、かつて日本軍がしたことをどれだけ知っているだろうか。シンガポールにおける大検証と粛清、「戦場にかける橋」で出会った元英兵捕虜、バターン死の行進、帰国できなかった中国残留孤児……。長年アジアに残る戦争の記憶に耳を傾けてきた地理学者が、日本人がけっして忘れてはいけないことを明らかにする。
目次
はじめに/第1章 中国侵攻/1 満洲事変/満洲事変の始まり、柳条湖事件/九・一八歴史博物館/中国では「偽満洲国」/「日本人は今でもマンシュウと呼んでいるのか」/「満洲は日本の生命線」/ハルビン郊外の七三一部隊/満洲国の「影の帝王」/甘粕正彦と李香蘭/2 日中全面戦争へ/盧溝橋事件/反日ムードが高まる中国の夏/南京大虐殺/南京大虐殺記念館/重慶爆撃/ノモンハン事件から南進論へ/コラム 日帝が残したタクアン/第2章 マレー半島侵攻とシンガポールの陥落/1 日本軍のマレー半島侵攻/シンガポール攻略作戦の立案/ニックネームは「ジェネラル・ヤマシタ」/マレーの虎/太平洋戦争はマレー半島上陸から始まった/侵攻前の情報収集/マレー半島の南下/日本の進軍と抗日ゲリラ/2 シンガポール陥落/日本軍のシンガポール攻略/セントーサ島の戦争関連施設/イギリス軍の降伏/シンガポール陥落がもたらした高揚/コラム 華人が歌う「愛国行進曲」/第3章 日本占領下のシンガポールとマレー半島──暗黒の三年八か月/1 「大検証」と「粛清」/シンガポールから「昭南島」へ/昭南島の華人の「大検証」/大検証の実態/繰り返される「選別」と虐殺/「粛清」の実態/リー・クアンユーが体験した大検証/生存者の証言/マレー半島における華人の粛清/2 華人への強制献金と皇民化政策/奉納金の強制/皇民化政策/民族分離政策と「バナナ紙幣」/3 教科書に書かれた日本軍のマレー半島侵攻/マレーシア・シンガポールの教科書から/小学校教科書にみるシンガポール占領/中学教科書にみる日本軍のシンガポール侵攻/教科書に描かれた占領体験/反日にならないシンガポール人/コラム 台湾で歌い続けられる「仰げば尊し」/第4章 東南アジア各地への侵攻/1 インドネシア占領/投げ捨てられた献花/オランダ軍の降伏/オランダ人慰安婦問題/2 「死の鉄道」泰緬鉄道/泰緬鉄道/「戦場にかける橋」で出会った元イギリス兵捕虜/3 マニラ、バターン半島、そしてフィリピン占領/「オマエ ドコイクカ!」/バターン半島攻略/バターン死の行進/フィリピン占領が高めた反日意識/マニラの陥落と住民の虐殺/マニラからバギオ、山間部へ/山下奉文降伏の地/コラム 「あゝモンテンルパの夜は更けて」/第5章 日本の敗戦/1 中国に残された日本人/ソ連の参戦/麻山事件/日本人公墓と中国養父母公墓/売国奴と批判された方正県/ソ連兵へ差し出された満洲開拓団の娘たち/中国残留孤児の帰国/満洲から引き揚げた開拓団員のその後/著名人の満洲引き揚げ者/2 勝者が裁く軍事裁判/シンガポールの日本軍降伏の日/極東軍事裁判/BC級戦犯/シンガポールの日本軍降伏と日本人墓地/シンガポールの軍事裁判/3 シンガポールの血債問題/虐殺された華人の遺骨発見/日本占領時期死難人民紀念碑の建立/血債問題に対する日本側の対応/シンガポールで迎えた二月一五日/4 戦争から何を学ぶか/戦場には民間人がいる/組織内の上下関係/戦争に関する教育の重要性/コラム シベリア抑留から帰った三波春夫と吉田正/あとがき/参考文献