ちくま新書<br> 日本人が知らない戦争の話 ――アジアが語る戦場の記憶

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ちくま新書
日本人が知らない戦争の話 ――アジアが語る戦場の記憶

  • 著者名:山下清海【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/07発売)
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  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075680

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内容説明

アジア・太平洋戦争において、後景に退きがちな大陸や東南アジアでの戦闘。激戦や苛酷な統治が繰り広げられたその場所で暮らす人びとは、当時をどう語り継いでいるのか。そもそも私たちは、かつて日本軍がしたことをどれだけ知っているだろうか。シンガポールにおける大検証と粛清、「戦場にかける橋」で出会った元英兵捕虜、バターン死の行進、帰国できなかった中国残留孤児……。長年アジアに残る戦争の記憶に耳を傾けてきた地理学者が、日本人がけっして忘れてはいけないことを明らかにする。

目次

はじめに/第1章 中国侵攻/1 満洲事変/満洲事変の始まり、柳条湖事件/九・一八歴史博物館/中国では「偽満洲国」/「日本人は今でもマンシュウと呼んでいるのか」/「満洲は日本の生命線」/ハルビン郊外の七三一部隊/満洲国の「影の帝王」/甘粕正彦と李香蘭/2 日中全面戦争へ/盧溝橋事件/反日ムードが高まる中国の夏/南京大虐殺/南京大虐殺記念館/重慶爆撃/ノモンハン事件から南進論へ/コラム 日帝が残したタクアン/第2章 マレー半島侵攻とシンガポールの陥落/1 日本軍のマレー半島侵攻/シンガポール攻略作戦の立案/ニックネームは「ジェネラル・ヤマシタ」/マレーの虎/太平洋戦争はマレー半島上陸から始まった/侵攻前の情報収集/マレー半島の南下/日本の進軍と抗日ゲリラ/2 シンガポール陥落/日本軍のシンガポール攻略/セントーサ島の戦争関連施設/イギリス軍の降伏/シンガポール陥落がもたらした高揚/コラム 華人が歌う「愛国行進曲」/第3章 日本占領下のシンガポールとマレー半島──暗黒の三年八か月/1 「大検証」と「粛清」/シンガポールから「昭南島」へ/昭南島の華人の「大検証」/大検証の実態/繰り返される「選別」と虐殺/「粛清」の実態/リー・クアンユーが体験した大検証/生存者の証言/マレー半島における華人の粛清/2 華人への強制献金と皇民化政策/奉納金の強制/皇民化政策/民族分離政策と「バナナ紙幣」/3 教科書に書かれた日本軍のマレー半島侵攻/マレーシア・シンガポールの教科書から/小学校教科書にみるシンガポール占領/中学教科書にみる日本軍のシンガポール侵攻/教科書に描かれた占領体験/反日にならないシンガポール人/コラム 台湾で歌い続けられる「仰げば尊し」/第4章 東南アジア各地への侵攻/1 インドネシア占領/投げ捨てられた献花/オランダ軍の降伏/オランダ人慰安婦問題/2 「死の鉄道」泰緬鉄道/泰緬鉄道/「戦場にかける橋」で出会った元イギリス兵捕虜/3 マニラ、バターン半島、そしてフィリピン占領/「オマエ ドコイクカ!」/バターン半島攻略/バターン死の行進/フィリピン占領が高めた反日意識/マニラの陥落と住民の虐殺/マニラからバギオ、山間部へ/山下奉文降伏の地/コラム 「あゝモンテンルパの夜は更けて」/第5章 日本の敗戦/1 中国に残された日本人/ソ連の参戦/麻山事件/日本人公墓と中国養父母公墓/売国奴と批判された方正県/ソ連兵へ差し出された満洲開拓団の娘たち/中国残留孤児の帰国/満洲から引き揚げた開拓団員のその後/著名人の満洲引き揚げ者/2 勝者が裁く軍事裁判/シンガポールの日本軍降伏の日/極東軍事裁判/BC級戦犯/シンガポールの日本軍降伏と日本人墓地/シンガポールの軍事裁判/3 シンガポールの血債問題/虐殺された華人の遺骨発見/日本占領時期死難人民紀念碑の建立/血債問題に対する日本側の対応/シンガポールで迎えた二月一五日/4 戦争から何を学ぶか/戦場には民間人がいる/組織内の上下関係/戦争に関する教育の重要性/コラム シベリア抑留から帰った三波春夫と吉田正/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

117
中国、マレー半島、フィリピン、インドネシアでの日本軍の行為を検証する。ある種の思想傾向の人からは自虐史観だと批判があるかもしれない。しかし、著者は、現地に赴き、話を聞き、歴史博物館を訪れて、戦争の記憶を辿ろうとしている。何が事実だったかに議論はあろう(でも、真実相当性は高いと思う)が、少なくとも、現地の人たちがこういう記憶を受け継いでいると知ることは大切だと思う。日本の教育は教えない。「Forgive but never forget(許そう、しかし忘れまい)」というシンガポールのスローガンが胸に沁みる。2024/04/05

樋口佳之

65
シンガポール大検証のお話は鬼の所業だな。決めた人達は国際法も知っていたはずだし。それは戦争でも戦闘行為でも無いはず。そこからまだ100年だって無い。何をやってしまったかを個別に具体的に知る事は大事だと思う。プリマーのレーベルでも良かったのではと読みました。2023/08/02

skunk_c

65
横浜中華街について興味深い本を出した著者は、シンガポール留学(現地でGeneral Yamashitaというニックネームをもらったとか)を経験した地理学者だが、そのフィールドワークを生かした、アジアにおける日本軍の行いなど、特に民間人の立場からの戦争を語っている。特に中国関連および日本の満洲開拓関連(残留孤児など)についても章が割かれ、アジア太平洋戦争を深く理解するための入り口にふさわしい。各所に適切な地図が挿入されているのもありがたい。特に若い人にこそ読んでもらいたい。一部些細な事実誤認もあるが。2023/07/14

ドラマチックガス

21
アジアの国々は日本を白人支配から解放してくれる存在として歓迎していた!! …なんてことは全く無かったしむしろ逆、日本軍はアジア各地で恨まれていたし、サンフランシスコ講和条約に納得していない人もたくさんいる、というお話。多くの国民が「太平洋戦争」と認識しており、アジアで起こったことを知らなすぎるという指摘は耳が痛い。筆者の方がおっしゃるとおり、まずは教育がもっと頑張らないと。負の歴史を認めることは恥ではなく、むしろ認めないことこそが恥なんだということも。多くの方に読んでほしい本。2023/12/04

二人娘の父

9
浅学ゆえに著者のことは初めて知った。地理学者であり、かつ、世界のチャイナタウンを取材している。そういう方ならば必然的に、シンガポール、マレーシアなどの華僑や中国人の歴史に造詣が深いことがうかがわれる。ほぼ現地を訪れた上での記述である。苗字が偶然にも同じである、帝国陸軍司令官・山下奉文の現地の反応など、オリジナリティあるルポになっている。しかし我が国の歴史教育の偏りには愕然とする。各章に出てくる数万単位での死者(日本軍による被害者)の存在を、多くの国民は「知らない」だろう。そこに最も恐怖を感じざるを得ない。2023/11/12

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