内容説明
9月1日公開の映画「こんにちは、母さん」を気鋭の作家が小説化!
監督:山田洋次 出演:吉永小百合 大泉洋 永野芽郁 ほか
足袋職人の実家に馴染めず、会社人間として生きてきた神崎昭夫は、
リストラ担当の総務部部長として神経をすり減らす日々。
家では妻から離婚を迫られている。
人生に戸惑いを覚えた昭夫がたどり着いた先は、
母の福江が一人住む東京・下町の我が家だった。
だが久しぶりの母の家での出来事が、傷心の昭夫をさらに悩ませる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
17
山田洋次監督はある時、俳優の宇野重吉からこんな話を聞いたという。絶望の淵にあって死のうと思っていた若き日の宇野が、ふと映画館に入ってフランク・キャプラの『スミス都へ行く』を観る。観終わった後、宇野はまだ死ぬことはない、生きていこうと、この世界は生きるに足るんだと、なんとかなるんだと思って、死ぬのをやめたという。 命をつなぎとめるだけの力を持つ映画を創ること。それも、肩肘張ったものではなく、くすっとした笑いを交えつつ、少し背中を押すような映画を創ること。北風と太陽なら、太陽のように、かじかんだ心が⇒2024/05/18
juneberry
3
大人になると、いつの間にかしがらみの中で動けなくなっていたり、自分が望んでいたものかどうかわからないけれどその方向へ行っていたりとつらいな…としみじみ感じた。みんな、自分の思いを殺して社会に適合しようとしているところがあるけれど、それにすら、自分でも気づいていないところがある。人生は周りのすべての人から教えられると気づいた。2023/09/28
法水
3
Audibleにて。映画はまだ観ていないが、神崎昭夫の視点で物語が語られながら「僕」や「私」などの一人称を使わないなど、単なるノベライズを超えた作品となっている。人事部長はつらいよ。2023/09/10
ハチ15
3
祖母が吉永さゆりさんのファンなので、この小説を手に取ってみました。 仕事、家庭、趣味、などなど。 人生のいろんな道が、たまに運悪く、ほとんど塞がれるようなときがありますよね。 これを読んだ私は30代。辛い事たくさんあったよね〜。と思うのですが、主人公は50歳。 出世の道をトントンと進み、家には大学生になった娘がいる。私よりいろんな事を築いてきた後の八方塞がりって、どれだけ辛いんだろうか。 ちょっぴりスカッとするお話。人生はこんなもんなのかもしれませんね。2023/09/05
A S
2
映画を小説化。大手企業人事部で働く50代の主人公。順風満帆な人生に見えて、仕事では板挟みになり、家庭では妻から離婚されそうで娘にも冷たくされている。実家で1人暮らしの母を訪ねると恋をしているらしい。誠実に生きていこうとする主人公が良かった。2024/02/01