内容説明
奈良時代から平安時代にかけて編纂された歴史書「六国史」。七二〇年に完成した日本書紀から、続日本紀、日本後紀、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録までを指す。天地の始まりから平安中期の八八七年八月まで、国家の動向を連続して記録した「正史」であり、古代史の根本史料である。本書は、各書を解説しつつ、その真偽や魅力を紹介。また、その後の紛失、改竄、読み継がれ方など、中世から現代に至る歴史をも描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
68
日本書紀からはじまる国撰の歴史書「六国史」。権力に阿ってばかりだとか、架空だ、ねつ造だ、とか戦後歴史家から悲惨な扱いを受けていたものの必ずしもそうじゃないことがこの新書でわかってよかった。しっかりその背景を読み解けばいいだけの話。「官報を綴ったもの」という形容は面白い。なによりこれらの歴史書が後世にしっかり伝わったことに関して、日本の古代からの関係者の尽力に感謝すべき。徳川家康とかも、しっかり保護してたんだぜ。古代から平安の頃の歴史小説好きの人にもお勧めです。2018/09/09
レアル
50
いつかは通読したいと思っている六国史。「日本書紀」は読んだ事あっても、それ以降のものを読んだ事がないので「それ以降のもの」を「その内に」読みたいための予習のために読んだ。どういった内容のものというものも勉強になったが、その構成や編纂にあたるための事業の思い入れも読んで初めて知った。改めていつか必ず六国史を読む!と決意をさせてくれた本。楽しい読書だった。2020/07/19
Tomoichi
31
720年に完成した日本書紀に始まり、続日本紀、日本後記、続日本後紀、日本文徳天皇実録、日本三代実録と続いた勅撰国史である「六国史」をわかりやすく解説。日本後紀が3/4が失われること、残っているものも塙保己一が発見したこと、その他知らないことばかり。自分の無知に悲しくなりました。2017/06/28
やいっち
30
六国史とは、『日本書紀』『続日本紀』『日本後紀』『続日本後紀』『日本文徳天皇実録』『日本三代実録』で、奈良時代から平安時代にかけてまとめられた古代の歴史書群の、後世の呼称である。いずれの章も興味深かったが、歴史の門外漢の小生が興味を惹かれたのは、徳川家康が大坂の陣の真っ最中に、六国史など日本の歴史書の書写に努めよと命令を発していること。さすが家康には目線の高さがある。以後、時代の趨勢や技術の進展もあって、歴史書は書写から印刷の時代へと移り変わっていく、その端緒となったとか。 2017/02/13
kokada_jnet
22
中世の「源氏物語」注釈では、「源氏物語」を実際の歴史にあてはめて解釈していたという話が面白かった。2016/12/07