内容説明
地球は1万5000年前、氷河期を終えて温暖化を迎えた。この「長い夏」に生まれた古代文明は、やがて洪水や旱魃などの自然災害に翻弄され、滅んでいく。気候と歴史のダイナミックな物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アナクマ
25
7章後半_4200年前、北方の火山噴火による寒冷化と278年間の干ばつでアッカド帝国は崩壊し、チグ・ユーフ両河川南部へ難民とヤギの群れが押し寄せウルも崩壊した。やがて再興するのだが「中央集権化と土地の組織化という戦略は、情け容赦ない世界にたいする最良の防衛手段だったのである」◉序-1章_それは「小規模の災害にたいする万全の対策として興隆した都市は、より大きな災害にはますます脆弱に」なるというパラドキシカルな取引き。恩恵の範囲が広がるにつれて万が一のときの被害規模も増大する——農耕、堤防、原発、みなそう。2024/03/22
アナクマ
25
ヒトは土から離れられないから、気候変動の影響は甚大。あまたの悲劇を越えてヒトは増加した。中央集権化と土地の組織化、都市化であり、小規模分散、多様性、相互扶助。要はあらゆる方法でだ。今後はわからない。◉あれこれ下書きをしてみたが結論はこうだ。「川の流れを妨げる流木をどかそうとしている老人のように」生きる以外になにができるというのか(池澤夏樹)。こうした理路整然とした悲観的観測に惹きつけられる理由が我ながらわからない。それでもヒトは生きてきた、という希望があるからかもしれない。でもやるんだよ。311に読了。2018/03/11
アナクマ
19
私たちは悲しいほど環境依存的である。「気候変動とかかわるなかで、たびたびもろくて弱い世界の入口に達し、それを乗り越えてしまった」物語。◉7章前半_メソポタミア。8200年前からミニ氷期の大惨事。それが終わる7800年前頃から定住地が確認できる。5800年前からは地軸変化による厳しい乾燥化。まさに『三体』世界!◉ユーフラテス川から取水する灌漑システムが枝葉のように延伸し、水利管理の要衝では都市化が進む。ウルク(やウル)では分業が発達(「最初の官僚」「大きな作業班」「家族農場」「もたない貧困者」など)。2024/03/15
ダージリン
4
気候変動を軸に古代文明を見ていくというのが新鮮だった。旱魃や食糧危機を招く気候変動が続けば、その土地は見捨てられ、文明は滅びざるを得ない。嘗て栄えた文明が消えていったのも、気候変動が大きく影響していたことが明らかにされている。取り巻く環境が永続的に続いてくれると思い込んでしまうが、なかなかそうはいかない。気候がどうだったのか、食糧生産が安定していたのか、歴史を見る時に実は重要な視点だということに気付かされた。2024/06/04
じぇろポーta
3
小集団が移動を繰り返す狩猟採集生活から恒久的な定住地へ移っての共同体(人口)の拡大。それは安定的で予測しやすい食料の獲得を人々にもたらしたが、その集団としての大きさが干ばつなどの災害に対する脆弱性を生じさせたのが皮肉。遥か古代のファラオたちは文字通り「現人神」だったが、致命的な大飢饉の発生で文明が滅びかけた一件以降、絶大な権力を握っているがあくまで人であり地上の最高権力者という地位に落ち着いた話が歴史やなあ。2023/11/26
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