内容説明
江戸文芸の「花道」にあらわれた近世の世界認識
『平家物語』『太平記』『曾我物語』『義経記』といった軍記物語類は、浄瑠璃や歌舞伎といった演劇のみならず、浮世草子から読本に至る小説などにも多大な影響を与えている。本書では、西鶴・芭蕉・近松の諸作品から幕末の河竹黙阿弥の歌舞伎に至るまで、その特徴的な作品を幅広く取り上げてその影響を詳細に検討し、江戸文芸の「花道」にあらわれた近世の世界認識を提示する。
目次
はじめに
第1章 西鶴の義理批判:『武家義理物語』と幸若舞曲『満仲』
第2章 芭蕉の名所革命:『おくのほそ道』と『平家物語』『義経記』
第3章 松尾芭蕉と木曾義仲:『おくのほそ道』と『平家物語』
第4章 近松浄瑠璃と『平家物語』:『佐々木大鑑』を視座として
第5章 『義経千本桜』と『平家物語評判秘伝抄』
第6章 新田義貞の兜は何を意味しているのか:『仮名手本忠臣蔵』と『太平記』
第7章 反転する敵討:鶴屋南北と『東海道四谷怪談』
第8章 生命と貨幣:『三人吉三廓初買』と『曾我物語』
第9章 和歌から物語へ:「浅茅が宿」と『兼好法師集』
第10章 『平家物語』伝承の近世と近代:『小敦盛』をめぐって
おわりに