内容説明
1970年代はじめ,宮崎県土呂久の慢性ヒ素中毒症の責任追及と患者救済運動のために新聞記者をやめた著者は,ヒ素汚染に苦しむアジア各地からの要請に応えて海を渡る.そして,タイ,インド,バングラデシュ等でのNGO活動は,研究者,技術者をまきこみ,現地の人びとと手を携えて,貧困と環境問題に取り組んでいく.
目次
I 章 宮崎県土呂久
II章 アジアへの一歩
III章 インド・西ベンガル州
IV章 バングラデシュ・シャムタ村
V章 コーディネイト型NGO
VI章 洪水の国のいのちの水
VII章 広がるネットワーク
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんさん(연싼)@読書メーター
3
筆者はヒ素中毒の問題を宮崎の土呂久から東南アジアへ広げている。問題解決のための動きは単に環境問題と捉えず、そこに住む人との交流・活動に支えられてきた。ところで、公害に向き合うときに「支援者」ではなく、自分たちもまた問題に加担している可能性があることに本書で気付かされた(緑の革命での肥料汚染がヒ素中毒に関係している事など)。2017/01/24
Sanchai
1
南アジアに広がる地下水砒素汚染の問題と、それに対するアジア砒素ネットワーク(AAN)の取組みを、非常にわかりやすくまとめられている。また、AANだけではなく、バングラデシュの現場で活動している現地の人々や、日本から現地調査に入り、エネルギッシュに活動する若い世代の学生さんや研究者の姿を見守る温かいまなざしも感じる。2012/06/18