内容説明
京都西町奉行所同心、榊玄一郎の元に、手下の小吉が現れた。堀川に相対死(心中)の水死体が上がったのだという。骸が発見された橋のたもとに向かった玄一郎だが、現場には西町奉行の侍医、久我島冬吾の姿があった。この医者は頼みもしないのに勝手に検分をして、同心たちとは全く違う見解を述べるので、評判はかなり悪い。しかも『相対死は三日間、四条河原に晒される』という法度があるにもかかわらず、久我島は玄一郎に、人助けと思って、心中である事実をもみ消せと言い出した。一体何が目的なのか!? しかしこの心中事件が市中を震撼させる事態へと発展していく──。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
46
ここしばらく三好さんにどっぷりな気が(#^^#)。これも読ませてもらえました。京都奉行所同心・榊には恋女房と手下の小吉が。江戸幕府も半ば過ぎとなると京の御所との軋轢・・尊王攘夷なるものが。そう言えば山形何某って人が有名でしたよね。出だしは絵師とその家の女中が相対死。いやぁ心中っちゅうのは晒されるんです(ーー;)。折角名の売れてる絵師やのに・・とヒモを切る粋な振る舞い。愛する妻がいて相対死?オカシイやないかと。その心中事件が榊の父親を殺した・・恋女房と小吉の父親を殺した者達が再度尊王攘夷を目論見登場する。2022/09/08
むつこ
27
表紙のイラストのイメージ通り、思っていた以上に期待した内容ではなかった(申し訳ない)心中事件を追う主人公、それがあれよあれよと尊王攘夷や偽絵、愛妻の血縁関係が浮かび上がってきます。あー、重かった・・・2023/12/31
豆乳くま
14
作者読み。京都の町奉行榊玄一郎は相対死の始末で現場に駆けつけるが、他殺の偽装だった。有名な絵師と女中の死。そこからかつての宮中を揺るがせかねない大事件「降馬事件」へ。自分の父親も妻も深い因縁があったが、あまりにも大きな敵にここまで、な解決だった。三好さんは最近ブームな作家さん。絵師絡みの話が多くとても好き。2021/12/31
まさ公
3
幽霊物かと思えば違うし、久我島が癖あるというわりに癖ないし、みんな今まで話しもしなかったのにペラペラしゃべるし・・なんとも感想の伝えづらいお話しでした。2023/06/30
mayukochan
3
以前アンソロジー集で読んだ三好さん。長編があったので手に取ってみました。京都で心中事件が発生。しかし普通の心中事件ではなく偽絵にまつわる事件だった。面白かったです!その後に繋がる話もなかなか壮大でした。当時は天皇と幕府はそんなに対立してたのかと知らないことばかり。時代背景がとても勉強になりました。2022/07/18