内容説明
幕府のトップとして武士を率いる「将軍」。源頼朝や徳川家康のように権威・権力を兼ね備え、強力なリーダーシップを発揮した大物だけではない。この国には、くじ引きで選ばれた将軍、子どもが50人いた「オットセイ将軍」、何もしなかったひ弱な将軍もいたのだ。そもそも将軍は誰が決めるのか、何をするのか。おなじみ本郷教授が、時代ごとに区分けされがちなアカデミズムの壁を乗り越えて日本の権力構造の謎に挑む、オドロキの将軍論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
57
鎌倉以来、武家政権のトップとして君臨した「征夷大将軍」とは何か。なぜ頼朝は自らの政権を実質上確保していたのに「征夷大将軍」という役職名に拘ったのか。そして鎌倉、室町、織田・豊臣、徳川政権における将軍のあり方の考察。わかりやすく、納得のいくものであった。政権安定期に入ると将軍は「神輿」化する方が世情は安定する。神輿が自ら動いては混乱する。「仁義なき戦い」の親分子分までを引いての説明に笑ってしまいます。2023/05/13
乱読家 護る会支持!
5
歴史的にみて、日本は「地位」よりも「人」を優先する社会。世界のスタンダードは、「地位」と「権限」がセットだが、日本は必ずしもそうではない。 将軍になるには、「天皇による任命」「神の承認」「家臣の合意」が必要。特に、「家臣の合意」が一番重要。家臣の合意には、高い身分の「血の連続性」がある人の方が、神輿として担ぎやすい。 ⚫︎徳川幕府が260年続いたのは、「譜代大名に政治担当と守りの要として軍事担当を分けたこと」「朝廷と豊臣家から遠い江戸に拠点を置いたこと」「家康は勉強熱心で、歴史に学んでいたから」などなど。2023/05/22
すうさん
4
武士の発生からやがて日本でどのようにして権力となっていったのか。権力主体は「血」だけであるかと思われがちだが実は「家」である。時の最高権力者が天皇家だけでないのも理解できる。将軍でさえも「神の承認」「天皇の承認」それと「家臣の合意」がないと最高権力者にはなれない。日本人の本音と建前が交錯する。将軍は「軍事と政治」を掌握するが上手にバランスが取れないと、いずれは権力の神輿から降ろされる。本書は最後に現代の政治家や中小企業家の世襲についても言及。本来の権力者の力の意味を再考するにはとても参考になる本。2023/04/06
はる
2
本郷先生の本ではかなり簡潔になります。もっと将軍について語って欲しい2023/05/08
和泉花
0
勉強になったんだけど、最後のコラムは…?2023/11/10