内容説明
震え飢える狩猟採集時代、家畜と農耕に縛られる新石器時代、自然に別れを告げる啓蒙時代。息子と二人で森に入った奇才作家が、人類の歩みを実際に体験する、哲学サバイバルエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SNagai
2
人類が狩猟採集生活をしていた旧石器時代後半、定住/農耕/言葉/「わたし」という概念を得たと思われる新石器時代、の生活を想像し実践してみて感じたことが記録されている。筆者によれば狩猟採集時代の人類はその後の人類よりもずっと感覚が鋭敏であったようだ。そして自身が自然の一部であることを当然に理解していた。啓蒙主義の時代への言及が最後にあるが、心が物質を超えたものであるはずだという筆者の考えが明確にされている。2023/03/04
Keikoh
1
どんな活動であれ、その活動を他者と共有すれば、エンドルフィン放出の効果ははるかに強力になる。これは進化の上で完全に道理にかなっている。もしダンバーのモデルが正しいなら、グルーミングは(シラミを捕まえるのでも、冗談を言うのでも、太鼓に合わせて足を踏みならすのでも)きずな形成の目的で自然選択に採用されてきた。そしてきずな形成の可能性を最大化するのは、抜け目のない経済学になる。だが何か別のことが起きているのかもしれない。おそらく人間社会では、積極的な参加そのものが選択されているのだろう。2024/11/02