創元推理文庫<br> 女彫刻家

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創元推理文庫
女彫刻家

  • ISBN:9784488187026

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内容説明

オリーヴ・マーティン――六年前、母親と妹を切り刻み、それをまた人間の形に並べて、台所の床に血みどろの抽象画を描いた女。嫌悪と畏怖をこめて彫刻家と呼ばれるこの無期懲役囚について一冊書け、と版元に命じられたライターのロズは、覚悟を決めて取材にかかる。まずはオリーヴとの面会。並はずれた威圧感に震え上がったが、相手は意外にも理性の閃きをのぞかせた。かすかな違和感は、微妙な齟齬の発見をへて、大きな疑問に逢着する……本当にオリーヴがやったのか? 謎解きの興趣に恐怖をひとたらし。その絶妙な匙加減が、内外で絶賛を博した、ミステリの新女王の出世作。MWA最優秀長編賞に輝く、戦慄の第二長編!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

201
1996年このミス海外第1位。 母妹を惨殺したと言われる 女彫刻家オリーヴの闇を追った物語である。 ライターのロズが 追う オリーヴの殺人の真実 …全編を覆不穏な雰囲気が 怖い。 本当にオリーヴは 自分の母と妹を惨殺したのか? ロズの丹念な取材から、オリーヴの 家族の闇が ゆっくり剥がれていく… 定番だが、もの哀しい ミステリーだった。 2018/08/03

セウテス

85
〔再読〕母と妹を殺害、バラバラに切り離した上で再び人の形に並べる、という罪で懲役しているオリーヴ。フリーライターのロズは、彼女についての本を書くように版元から命じられ刑務所に通う。ウォルターズ氏の特徴である、登場人物に対する印象が物語の進行と共に、少しずつ変化していく事が非常に読み応えがある。ミステリとは言えない、謎解きもトリックも無く真相すら明言していない。人は間違いを犯すが間違いを犯した本人は、得てしてその事自体を認識していない事が多い。人は正義だと信じる時、その正義を疑わないという主張も感じられる。2020/10/08

*maru*

52
著者3冊目。殺害後、遺体を切断し再び人間の形に飾り立てた猟奇的な殺人事件。この事件で無期懲役の判決を受け服役中の殺人犯オリーヴと、執筆のため面会に訪れたフリーライターのロズ。まず、何と言ってもオリーヴの造形が見事だった。ロズ同様、徐々にオリーヴに魅了されるとともに彼女の“嘘”に翻弄される苛立ちと心地よさ。元刑事ハルもたまらなく魅力的だったな。“真実は限られたごく狭い範囲にしか存在しないが、誤謬は無辺である”結末も含め驚きは少ないものの最後まで楽しめたのですが、解説が唯一の不満要素。ある意味ミラクル。2019/11/24

Small World

36
英国推理物ですが、表紙から暗いイメージがありましたが、雰囲気は映画的で面白かったです。なんか、全編を通じてモヤモヤがかかってるんですが、最後も少しスッキリしない……w このスッキリしなさは、好き嫌いが分かれるんでしょうが、基本的に自分は嫌いじゃないのですw。初ミネット・ウォルターズでしたが、他のも読んでみようと思います。(このミス1996海外編第1位作品)2019/10/21

はちてん

33
再読 改めてウォルターズ得意の範疇だと思う。初読のときは展開に夢中になって読んだが、今回は中弛みした。著者の中編を読んだ直後のせいかも。ドロドロから活劇へと楽しませてくれるが、ドロッと終わってもよかった。とかなんとか…充分楽しみました。 巻末に野崎六助なる人のウォルターズ論が載っているが、何故これを載せたのか疑問。2014/12/26

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