内容説明
霊を見ることができる赤眼を持つ憑きもの落としの浮雲は、土方歳三とともに京へと旅をしていた。
浮雲は箱根で遼太郎と名乗る謎の青年と出会う。
遼太郎は幽霊に憑かれやすい性質で、様々な怪異を引き寄せてしまう。
浮かぶ生首、干からびた死体、そして生贄を求める龍。
次々と迫る怪異の謎を調べるうちに、浮雲たちは秘められた哀しみと愛にふれていく……
そして明らかになる遼太郎の恐るべき正体とは――
鮮烈な剣戟と、華麗な謎解き。
幕末ホラーミステリの傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
assam2005
25
京を目指し旅を続ける浮雲と歳三。途中、箱根で遼太郎と名乗る青年と出会い、共に旅することとなる。旅する中で出会った人達の言葉「皆同じなのですよ。自分の為なら、それが我が子であろうと、犠牲にすることを厭わない。」が胸をえぐる。小さな村での常識に囚われた人達同士の首の締め合い。その村の常識に囚われない第三者から見れば「そうしてまでどうしてその村にいることに拘ったのか?」と思えるが、その偏った常識に染まりきった人達には、それ以外の道は見えない。人は追い詰められると視野が狭くなる。それは誰しもきっと同じ。2023/03/21
みい坊
22
いつもながら読み出すとすっと物語に入り込めてあっという間に読了。実在の人物が浮雲さんと上手く絡み合っていると思う。今回、遼太郎を通して想いを告げようとする霊はみんな優しくて哀しい。だから怖いの苦手な私でも好きなシリーズで有り続けるのだろう。ただ残念な事に、前回までの話をすっかり忘れているのもいつもの通り。千代の存在は八雲と重なったりもする。束の間、幕末の物語に浸る。そんな時間を楽しみに次回を待っています。遼太郎さん、共に旅をしていると良いなと思いながら。2023/03/05
えも
21
スマホで図書館の新刊本を予約し、順番が来て借りてみたら、なんと、シリーズものの、しかも8冊目。なんてこったい▼でも読んでみたらそんなに違和感がなかったし、なかなか面白い▼刺客から逃げている謎の男、遼太郎は霊に憑かれやすく、行先で霊に絡んだ事件を浮雲らとともに解決していくが、その過程で、逃げていては駄目だと思うようになる▼ってな話2023/03/28
二分五厘
20
京都への道中、箱根~三島あたり。やっぱり八十八の代わりが登場したか?って思ってたら、とんでもない人だった(笑)。土方さんの一人語りだと、殺気走っていけなくて、やはり安心できる八十八パートが欲しかったんだけど…。ところが箱根山中で迫り来る生首、三島の蜘蛛ヶ淵では人を干涸らびさせる絡新婦に見事に絡み取られ、更には海辺の寒村では宿から姿をくらますという八十八体質を披露した遼太郎。更に出自の因縁とか、期待しかないけど期待してていいですか。あのぅ、ただの脇役に″道○″って名前はやめてもらえません?つい身構えます。2023/09/23
小梅さん。
15
歳三と浮雲が旅の途中で出会った遼太郎。 彼らが関わる霊はなんとも悲しく恐ろしい。 人間の心というものは、、、 なんだかんだ言って遼太郎を放っておけない浮雲のツンデレぶりは微笑ましいというか、なんというか。 でも、そういって笑ったりしたら、浮雲にひどくへそを曲げられるのは間違いないw 歳三とあの女は、また会うことになるのだろうな。 あの恐ろしい絵師とも。 旅の目的地である京で、決着がつくのだろうか。 しかし、遼太郎がそうだったとは驚きだった。2023/02/22