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内容説明
三方を山に囲まれ、水に恵まれた京都。米や酒は上質で、野菜や川魚も豊かだ。それだけではない。長年、都だった京都には、瀬戸内のハモ、日本海のニシンをはじめ、各地から食材が運び込まれ、ちりめん山椒やにしんそば等、奇跡の組み合わせが誕生した。近代以降も、個性あふれるコーヒー文化、ラーメンやパン、イタリアンなど、新たな食文化が生まれている。風土にはぐくまれ、人々が創り守ってきた食文化を探訪する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
70
京都の料理や料理店についての研究というよりはエッセイ寄りの一冊。鯖寿司に京野菜にラーメンに喫茶店、こういう本を読んでいると行きたい所が増えて困るなあ。和食和菓子だけではなく料理全般を満遍なく記しているのだけど、そこで行きたかった下鴨の洋食店が閉店している事を知りちょっとショックを受けている。京の文化に関する本には料理について書いてある本も多く、それらと比して特に目新しい事が書いてあるわけではないけれども、読んでいるうちに四条の雑踏や行った事のある店のメニューを思い出して何ともいい気分になる一冊でした。2022/11/09
かごむし
17
京都の地形がもたらす気候の説明から始まって、どのように食文化が発展してきたのかが語られる。外から見た食通のための食文化の系譜のイメージで読み始めたが、著者が長年住んだ京都の情報が様々に織り込まれ、京都に実際住んでいるような気持ちで読み進めることができた。京料理の文化は、長い年月をかけて、お店の人、お客さん、食材の提供者などによって育まれてきたものなのに、近年の若者の和食離れによる衰退を危惧していることや、外国人旅行者があまりにも多く来すぎて、観光公害だと文句を言うあたりまで含めて、京都人のリアルだなあと。2022/12/10
ろべると
11
京都は食の面でも歴史や文化と分かち難く結び付いている。和食のイメージが強いが、パンやコーヒーなども消費量が多いという。一方でラーメンなどはそれほどでもないらしい。大阪の食い倒れに比べると、京都人はそれほど外食しないので、最近やたら目につくのは観光客向けの店ばかりであり、特に著者も触れているように、錦市場の変わりようなどは何とも嘆かわしい限りである。老舗の料理屋はコロナで客が減って店を閉め、お得意様向けの仕出しに活路を求めている。そのようにして京都の食文化は、深く潜行しながら伝統を守り続けていくのだろうか。2023/01/01
Iwata Kentaro
8
以前京都に住んでたので、本書の内容は概ね納得。知らないことも多々あり、勉強になりました。やっぱ和菓子は京都、松江、金沢だよね(たぶん)。2022/11/06
niz001
5
なんだかんだ『都』だったってのが食文化発展の大きな要因だよなぁ。錦市場は一時酷かった。2023/03/28