川崎警察 下流域

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川崎警察 下流域

  • 著者名:香納諒一【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 徳間書店(2023/01発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784198655921

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内容説明

1970年代の川崎。地元漁師たちには、漁業権や船舶の買い上げと補償金を巡り、分断と対立が生じていた。また朝鮮や沖縄からの流入者が多く住民感情は複雑化していた。そんななか、多摩川河口に矢代太一の溺死体があがった。彼は漁業権問題で漁民をまとめる交渉役だったが、それゆえに一部の漁師から恨みも買っていた。遺体には複数の打撲痕が認められた。また遺品にはキーホルダーがふたつあり、自宅以外にも家があるようだった。川崎署のデカ長、車谷は捜査に乗り出す。矢代は補償金で食堂を始めたが、妻の死で店を畳み、いまは次男と暮らしていた。被害者の足取りを追ううちに、矢代は居酒屋で飲んでいるところに若い女性からの電話で、慌てて店を出て行ったことがわかった。事件が報道されると、矢代と義理の娘に部屋を貸したという夫婦から連絡が入る。矢代に義理の娘などいない。車谷たちは不審死の背後に横たわる深い泥沼に足を踏み入れることに…

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

200
香納 諒一は、新作中心に読んでいる作家です。 令和の人気の街、川崎が舞台かと思いきや、昭和の旧き柄悪き川崎が舞台の警察小説でした。東京湾のヘドロの如く泥臭い人間ドラマで読み応えがありましたが、著者が今のタイミングに書下ろしで、何故本作品を書いたかは疑問です。 https://www.tokuma.jp/book/b619178.html2023/02/18

いつでも母さん

146
すっかりご無沙汰していた香納さんの新作。1970年代の川崎が舞台の警察小説。ザ・昭和の刑事を面白く読んだ。事件の真相は‥えぇ?漁師だった父親だからといって‥なんだか虚しいよ、お兄ちゃん。な感じではあった。映像が浮かぶが、今は無理だろうなぁ。2023/03/17

パトラッシュ

134
平然とヤクザと裏取引し、風俗の女を愛人にして気に入らない奴は県警のエリートでも殴りつけるデカ長の車谷のキャラが強烈。破天荒だが川崎の街を愛する刑事が部下を率いて元漁師殺しを捜査していくが、殺人や失踪が相次ぎ発生する異常な状況に大きな闇を悟って真夏の川崎を走り回る姿は一気読みさせられる。しかし、悪徳政治家と謎の殺し屋、暗躍する暴力団に在日朝鮮人との衝突と魅力的な話の素材が山盛りなのに、すべて背景の書き割で終わった。彼ら全員が関わる政治的陰謀絡みの大事件が起こり、車谷が解決に奔走する展開になれば最高だったが。2023/05/07

Kei

117
前知識なく読んだので、時代設定が、ずいぶん昔なのは、読み進めて、わかった。戦後、川崎を舞台に、労働争議、朝鮮部落、公害による漁業権補償と、その利権に群がる政治家やヤクザ。京浜工業地帯の発展にまつわる暗部が、元漁師の殺人事件から浮かびあがる。登場人物のキャラクターが、追う、追われる双方に魅力的で、読ませる。昭和の類型でありながらも、飽きさせない。以前、横浜がカジノ法案に反対したドキュメンタリー番組を観たことあるが、沖沖士を束ねる長を思いだした。今だに続いているのかもしれない。車谷班長、シリーズ化希望します。2023/05/18

ゆみねこ

100
70年代の川崎が舞台の警察小説。急激な工業化が進み工場排水で漁業が出来なくなった海。多摩川の河口近くの海で元漁師の遺体が見つかる。捜査にあたる車谷デカ長たち。遺体のポケットにあった自宅のものではない鍵から広がる深い闇。車谷の濃いキャラと新人刑事の沖修平の活躍、令和の時代では考えられないような時代感。懐かしいというか、昭和も遠くなったのだと思いながらの読了。2023/05/08

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