ちくま文庫<br> 快楽としての読書 海外篇

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ちくま文庫
快楽としての読書 海外篇

  • 著者名:丸谷才一【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/01発売)
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  • ISBN:9784480429384

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内容説明

中身があって、面白くて、書き方が洒落ている。そして、その本をすぐに読みたくなる。それが丸谷書評の魅力だ。海外の傑作を熱烈に推薦した114篇。聖書とホメロスの新訳を味わい、中世フランスの村の記録に驚く。ナボコフ、クンデラ、エーコ、カズオ・イシグロ、そしてマルケス、バルガス=リョサの魅力を語り、チャンドラー、フォーサイスを楽しむ。書評傑作選第2弾。

目次

I イギリスの書評に学ぶ/イギリス書評の藝と風格について/マンゾーニ『いいなづけ』の書評を書き直す/カズオ・イシグロ『日の名残り』の書評に書き足す/II 書評114選/シャガールの油絵のやう アファナーシエフ『ロシア民話集』/愛のかたち アルベローニ『友情論』『エロティシズム』/アッラーの恵み 『アラビアン・ナイト』/人間として生きることの誠実さ W・H・オーデン『オーデン わが読書』/色名帖 ポール・オースター『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』/上海一九四一年 J・G・バラード『太陽の帝国』/小説の変容 ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』/日本にはない型の美術評論 ジョン・バージャー『見るということ』/喪失の感覚 カーレン・ブリクセン『アフリカ農場』/愛と死 ボアゴベ『鉄仮面』/巨匠の好み ホルヘ・ルイス・ボルヘス編『バベルの図書館』/女の匂ひがたちこめる アニータ・ブルックナー『秋のホテル』/スパイ小説のパロディ アントニイ・バージェス『戦慄』/ブラック・スワンの歌 アントニイ・バージェス『エンダビー氏の内側』/音楽の状態にあこがれる アントニイ・バージェス『ナポレオン交響曲』/ミセス・ブラウンの配色 A・S・バイアット『マティス・ストーリーズ』/人生を花やかに弔ふ イワン・ブーニン『暗い並木道 イワン・ブーニン短編集』/ロマンチック・アイロニー バイロン『ドン・ジュアン』/虚無へゆく旅 イタロ・カルヴィーノ『マルコ・ポーロの見えない都市』/短篇小説の技法 レイモンド・カーヴァー『ぼくが電話をかけている場所』/距離の取り方 レイモンド・カーヴァー『夜になると鮭は…』/ルネサンス的人間 チェッリーニ『チェッリーニ わが生涯』/恐るべき話術の哲学書 F・M・コーンフォード『ソクラテス以前以後』/子供の運命 マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』/地中海の島 ロレンス・ダレル『にがいレモン』/寛容と平衡感覚 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』/思想史の現場 ローレン・アイズリー『ダーウィンと謎のX氏』/さまよへるルーマニア人 M・エリアーデ『ダヤン・ゆりの花蔭に』/アポリジニー神話と『ユリシーズ』 M・エリアーデ『エリアーデ日記』/古代的なトリックスター リチャード・エルマン『ジェイムズ・ジョイス伝』/小説家の領分 E・M・フォースター『ハワーズ・エンド』/イギリス大衆小説のあの手この手 フレデリック・フォーサイス『ジャッカルの日』/大団円のある世界 ジョン・ファウルズ『魔術師』/偉い学者の書いた薄い本 エーリッヒ・フロム『愛と性と母権制』/人間的時間 ガルシア マルケス『大佐に手紙は来ない』『土曜日の次の日』/冗談にして神話 ガルシア マルケス『悪い時』『落葉』『ママ・グランデの葬儀』/『百年の孤独』の作家 ガルシア マルケス『族長の秋』『予告された殺人の記録』ほか/百年つづく雨期 ガルシア マルケス『迷宮の将軍』/愚行の研究 E・ギボン『ローマ帝国衰亡史』/人間の条件 W・ゴールディング『蠅の王』『後継者たち』『我が町、ぼくを呼ぶ声』ほか/愛と憐れみ グレアム・グリーン『ヒューマン・ファクター』/ヒロイックな女のヒロイックな行為 リリアン・ヘルマン『眠れない時代』/文学の不思議 ロバート・ヘリック『ヘリック詩鈔』/詞華集の名作 平井正穂編『イギリス名詩選』/大弓の弦は燕の声に似た響きを立てて ホメロス『オデュッセイア』/子供の研究 リチャード・ヒューズ『ジャマイカの烈風』/技法としての曖昧さ ヘンリー・ジェイムズ『使者たち』/ヴェニスでの宝さがし ヘンリー・ジェイムズ『アスパンの恋文』/男には書けない本 P・D・ジェイムズ『女には向かない職業』/1939年といふすごい年 『ジョイスⅡ オブライエン 筑摩世界文学大系68』/天才的な作家の弟であること スタニスロース・ジョイス『兄の番人』/アレクサンドリアの詩人 『カヴァフィス全詩集』/『古今集』から『細雪』まで ドナルド・キーン『日本の文学』/若いフロベール 工藤庸子編訳『ボヴァリー夫人の手紙』/ヨーロッパ小説史を生きる ミラン・クンデラ『小説の精神』/だまし絵 ミラン・クンデラ『不滅』/長篇小説第一作 ミラン・クンデラ『冗談』/中世フランスの村 E・ル・ロワ・ラデュリ『モンタイユー』/カトリック反小説? デイヴィッド・ロッジ『どこまで行けるか』/「書き出し」から「結末」まで デイヴィッド・ロッジ『小説の技巧』/星と星との距離 フランク・マクシェイン『レイモンド・チャンドラーの生涯』/ゴシップとスキャンダル イアン・マキューアン『アムステルダム』/ドビュッシーのために M・メーテルランク『ペレアスとメリザンド』/スペース・オペラ ミルトン『失楽園』/色事と批評 モラヴィア&エルカン『モラヴィア自伝』/美しい若者 ウィリアム・モリス『世界のかなたの森』/神童の生涯 吉田秀和編訳『モーツァルトの手紙』/蝶の運命 ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ自伝』/ライオンが動物学を教へるとき ウラジーミル・ナボコフ『ロシア文学講義』ほか/モーパッサン以後的方法 ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ短篇全集』/声のためにはウォトカ 中村喜和編訳『ロシア英雄叙事詩 ブィリーナ』/漢文短篇といふ形式 野崎充彦編訳注『青邱野談 李朝世俗譚』/小説的人間の探求 M・オンダーチェ『イギリス人の患者』/架空の古人の伝記 ウォールター・ペイター『享楽主義者マリウス』/ポー河のほとり チェーザレ・パヴェーゼ『丘の上の悪魔』/少女が女に変容してゆく物語 チェーザレ・パヴェーゼ『美しい夏』/『万葉』から谷川俊太郎まで ジャクリーヌ・ピジョー『物尽し 日本的レトリックの伝統』/詩人たちの教師 エズラ・パウンド『詩学入門』/人間的時間 マルセル・プルースト『失われた時を求めて』/暗い部屋 マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』/アガサ・クリスティーに逆らつて ルース・レンデル『ロウフィールド館の惨劇』/すばらしい幸福 ヨーゼフ・ロート『聖なる酔っぱらいの伝説』/右翼的人間 ヨーゼフ・ロート『蜘蛛の巣』/死者の国の物語 フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』/秩序の逆転 ハンス・ザックス『謝肉祭劇選』/言葉のエネルギー 佐藤研訳『新約聖書Ⅰ マルコによる福音書 マタイによる福音書』/神話的方法 シュニッツラー『カサノヴァの帰還』/菜の花とレイプ E・サイデンステッカー『日本との50年戦争 ひと・くに・ことば』/「ニュー・ヨーカー」の作家 アーウィン・ショー『夏服を着た女たち』/この花やかな訳者たちの顔ぶれ クリストファー・シルヴェスター編『インタヴューズ』/作曲家は鳥の唄を金銭出納帳に書きつけた メイナード・ソロモン『モーツァルト』/論理とイメージの二刀流 スーザン・ソンタグ『土星の徴しの下に』/旧批評への道 ジョージ・スタイナー『トルストイかドストエフスキーか』/文化の伝統と政治の野獣性 ジョージ・スタイナー『青鬚の城にて』/悪の研究 スティーヴンスン『バラントレーの若殿』/カエサルたちの伝記 スエトニウス『ローマ皇帝伝』/古典の新訳 スウィフト『ガリヴァー旅行記』/モダニズムの文学 シモンズ『象徴主義の文学運動』 エルマン『ダブリンの4人』/古代ローマの政治的言説 タキトゥス『同時代史』/淫奔な女帝 アンリ・トロワイヤ『女帝エカテリーナ』/作中人物としての作家 アンリ・トロワイヤ『チェーホフ伝』 松下裕訳『チェーホフ全集』/神の死 ジョン・アップダイク『カップルズ』/ペルーの人間喜劇 バルガス リョサ『緑の家』/マチスモとは何か バルガス リョサ『都会と犬ども』/ボヴァリー夫人は彼だ バルガス リョサ『果てしなき饗宴』/若者と娘の絵本 ボリス・ヴィアン『日々の泡』/タイム・マシーン カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』/悪い冗談? カート・ヴォネガット『デッドアイ・ディック』/冗談としての小説 イーヴリン・ウォー『大転落』『ポール・ペニフェザーの冒険』/批評の現場 『オスカー・ワイルド全集』/日本人の知らないアメリカ エドマンド・ウィルソン『愛国の血糊』/遠征の記録 クセノポン『アナバシス』/最も美しい王土 ユルスナール『東方綺譚』/二十六世紀の都市 ザミャーチン『われら』/解説 書評のカノン 鹿島茂/

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

i-miya

49
2013.02.04(つづき)丸谷才一著。 2013.02.04 ルチーア(恋人)と村の若者、レンツォ。 司祭と下女、ペルペートゥア。 領主ロドリーゴ。 弁護士も弱腰、手土産たる四羽の鶏も受け取らず返す始末。 修道院のクリストーファロ神父は、領主との対決を決意。 領主と老召使。 (引用文) 三人の客を乗せた船、コーモ湖。 ドン・ロドリーゴの→型が、館が見える。 ルチーアは、こっそりと泣いていた。 恋人たちの流浪が始まる。 ルチーアは、カプチン会の院長の世話で、修道院実力者に託される。2013/02/04

i-miya

48
2013.01.29(つづき)丸谷才一著。 2013.01.29 1.イギリスの書評に学ぶ。 ◎英書評の藝と風格について。 篠田一士、ともに、英文の大学院生で、ともに英国雑誌『ニュー・ステイツマン』を定期購読していた。 プリチェットの長文書評「いろんな本」(『Books in General』) スクラップブック。 書評というジャーナリズムこそ社会と文学を具体的に結びつけるものだからである。 ジャーナリスト書評家、ジョン・レイモンド。  2013/01/29

i-miya

46
2013.03.15(つづき)丸谷才一著。 2013.03.13 『フロベールの鸚鵡』(ジュリアン・バーンズ)。 とにかく才気煥発である。 着想、技巧ともに優れている。 鸚鵡のはく製、2つある。 (1)ルーアンの市立病院(文豪の生家で、今は記念館)。 (2)ルロワッセの記念館、読者をはらはらさせる技。 ◎日本にはない型の美術評論-ジョン・バージャー『見るということ』(ちくま学芸文庫)。 ロダンの性欲の強さ-バルザック像、習作では、右手の位置。 2013/03/15

i-miya

42
2013.01.26(初読、初著者)丸谷才一著。 2013.01.25 (カバー) 中身があり、面白く、しゃれている、読みたくなる丸谷書評の魅力、114編。 中世フランスの記録、ナボコフ、クランデ、エーコ、カズオ・イシグロ、マルケス、ガルバス=リョサからチャンドラー、フォーサイスまで。 2013.01.26 (丸谷才一) 1925、山形県鶴岡市生まれ。 1968、芥川賞、『年の残り』。 2013/01/26

i-miya

40
2013.03.20(つづき)丸谷才一著。 2013.03.19 スパイ小説のパロディ。 バージェスの世界。 ◎ブラック・スワンの歌-アントニイ・バージェス『エンダビー氏の内側』。 多作-バージェス。 ◎音楽の状態に憧れる-アントニイ・バージェス『ナポレオン交響曲』。 スウィフト『ガリバー旅行記』や、フィールディング『トム・ジョーンズ』など、18世紀作品、思い出せばわかるが、雄大で、しかも精緻に語られる冗談という性格の系列がある。 男らしく知的で、突飛で、まじめなのか、ふざけているのかわからない風情。 2013/03/20

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