内容説明
転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは?つきばかりだった。なぜ彼らは?をつくのか。友達に嫌われてもかまわないと少女がつく?。海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の?。五人のクラスメイトが集まってついた?。お母さんのことが大好きな少年がつかれた?。主人公になりたくない女の子がついた?。さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。やがて礼恩は、バールを手にとる――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
268
父親の身勝手な理由で、転校を繰り返す小学生が主人公。いじめられ、仲間外れにならないために、少年は行く先々で自らを「擬態」した。まるで、カメレオンのように。私にも同じような記憶がある。その世界に馴染むような演技をしていた。「バールのようなもの」で殺人を犯すバール怪人の話は、ミステリーを読んでいるようなワクワク感があった。「バール」の正しい使い方と、正しくない使い方が、テーマだが、ちょっと考えさせられた。読後感は悪くなかった。2023/06/01
のぶ
136
主人公は年ごとに転校を繰り返す小学生の要目礼恩くん。転校した先々で起こる様々な話を連作風に綴ったミステリー集だった。読んでいて訳のよく分からないものも含まれていたが、全体を通して楽しく読む事ができた。ただし、この本のタイトルがなぜ「バールの正しい使い方」だったのかが分からずじまい。これ重要だと思うのです。しかし。この手の青春ミステリーに必要な、登場人物の爽やかさがよく出ていると思った。特に小学生たちが自分たちの世界で懸命に生きている姿がキラキラしているところが良いのです。この先注目の作家かもしれない。2023/02/03
モルク
130
幼い頃母を亡くし父親の都合(転勤ではなく)で何度も転校する小学生の礼恩。短い時は1学期もたたぬうちに転校、よって彼はカメレオンばりにそこに同化し学校の雰囲気クラスのヒエラルキーを即座に感知する。小学校で囁かれる「バールの怪人」の都市伝説。各学校で起こる様々の謎を小学生らしからぬ推理で解き明かす。長編とはいいながら連作短編のような作り。最終話「ライオンとカメレオン」で訳がわからなくなりそしてエピローグ。えっ?混乱した頭を解きほぐすように読み返す。児童書の所にあっただけあって読みやすくよく練られていた。2023/11/19
徒花
118
よかった!父親とともに引っ越しを繰り返す小学生の男の子が、転校した先の学校で出会うさまざまな「ウソつき」たちと「バールのようなもの」、そして謎の物語。帯の煽り文ではミステリとして絶賛されているけれど、ミステリとしてよりも児童文学として読んだほうがおもしろい。そして秀逸だなあと思ったのがカバーのデザイン。バールという剣呑なアイテムがニョキッと出ていて不穏な雰囲気をまとっているんだけど、じつは帯を一枚めくると美しい花が咲き乱れていて、まさにこの仕掛そのものが物語の構造を表している。これはいいぞ。2023/03/07
yukaring
116
不思議なタイトルに興味を持って手に取ったがこんな独創的な"バール"とその使い方があったとは❗️切なさと残酷さ、愛おしさが溢れる青春ミステリ。父の仕事の都合で転校を繰り返す小学生の礼恩(れおん)。転校先で淡々と過ごす礼恩だが、彼の転校先の学校ではなぜか"バール"についての様々なうわさが出回っていた・・。転校先で出会った人々と彼らの持つ事情や嘘を自分なりに解釈して心の中にそっとしまっていく礼恩。そして最後に明かされる礼恩の本音と"バール"の正体。現実の美しさと過酷さに希望がそっと添えられる心に響く物語だった。2023/03/09