- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
親から虐待を受けた子は、計り知れない心の傷を負う。多くの場合死ぬまで苦しみ続け、最悪の場合、自殺してしまうこともある。どのように「親」と決別し、自分の人生を歩んでいったらよいのか。運命を変えて自由になるには、それまでの思考を変えることだ。発達段階と親との関係を読み解くことで、育った環境、親からの影響を自覚し、必然性から抜け出す。精神科医が指南する「親との別れ方」。
目次
はじめに 心は自由に動けるのか、必然に従うのか
──生まれ育った家族の影響は人生を大きく左右する
第一章 DNAで決められた最初の必然「愛着形成」──親に「くっついて」安心を求める愛着行動は生物学的な必然
(1)愛着とは安心を求めて母親に「くっつく」こと
愛着形成は赤ちゃんと母親との双方の必然から起こる
愛着形成あるいは基本的信頼の獲得で人生が始まる
(2)最初の「必然」である愛着が満たされない場合
虐待を受けた子の一生は孤独と不安と緊張
(3)心の傷とは愛されたいと思う気持ちを否定してしまうこと
愛情豊かな母親に育てられた場合の心の傷
愛情のない母親に育てられた場合の心の傷
心の傷とは「愛着の否認」、愛されるに値しないと自分を否定すること
人前で好きなケーキを選べますか? 「愛着の否認」度を測定する
(4)Hさんの失われた四〇年
人を恐れて孤独のまま死んでいた
(5)心の法則とは
第二章 親に決められたことから自由になる試み「イヤイヤ期」──子は親から自由になろうとし、同時に親の心の傷を治そうとする
(1)愛着形成ができたらイヤイヤ期が発動する
自分の思い通りにしたいのが最初の自己主張
(2)イヤイヤの激しさを決めるファクターは親の愛着
共感豊かな母親の場合、子のイヤイヤ期は短い
(3)イヤイヤで子は親の苦しみ「愛着の否認」を修正しようとする
(4)虐待されている子にはイヤイヤ期がない
自己主張を知らない子
愛着障害の二タイプ:反応性アタッチメント障害と脱抑制型対人交流障害
第三章 小学生は親の人生観を引き継げれば、安定する──学校社会にデビューするためには小学生でも人生観が必要
(1)小学生にも人生観が必要な理由
小学校では子どもたちだけの社会ができる
学校社会の中で自分の居場所を確保する方法
(2)親の人生観を学んで生きるのが子の幸せ
人生観とは仲間と認め合う自分の生き方
小学生の人生観は親の人生観を超えない
子どもが選ぶ人生観のバリエーション──「心の一貫性を感じる力」
(3)親の人生観についていけない子の悩み
親の人生観が子のストレス──抜毛症
ストレスを生み出す「葛藤」の構造ができるのは小学生から
(4)心の発達段階は死ぬまでの五段階
心理が発達するのはもっともっと安心したいから
「心の法則3」心は不可逆に広がる
(5)親の人生観を引き継げなかった子は、発達障害と誤解される
被虐待児には先生の呼びかけが通じない理由
自分はみんなとは別の子──「仲間」の意味を知らない子
第四章 思春期は自分の「運命」を初めて自覚する時──親に反抗して、親の人生観を超えようとする
(1)古い親子関係を壊さないと先に進めないのが思春期
思春期で手にしたい自由は、イヤイヤ期と何が違うのか
従ってきた親の運命を自覚する
(2)激しいのと穏やかなのと、反抗期の三つのパターン
穏やかなのと激しい反抗期を分けるものは親の頑固度
穏やかな反抗期〈問題化しない思春期〉
激しい反抗期〈問題化する思春期〉
Jさん一家の思春期問題と「心の必然性」
「正確な」怒りの応酬が親子を対等にする
反抗期がない
(3)心が自由を求めているのか、それともただの体の必然なのか
思春期の発動は脳の視床下部の「必然」
異性への性的な関心が心を変える
心が先か、体が先か? 自由が先か、必然が先か?
第五章 配偶者は自由に選択できるのか「成人I期」──人はどのような基準で配偶者を選択しているのだろうか
(1)長い成人期を三つに分けて理解する
I期は自己責任、II期は父母性、III期は死
(2)パートナー選択に影響するIWM理論の「必然性」
生まれ育った家庭が心に与える深い影響
「激しい」虐待を受けて育った人のパートナー選択から分かること
「目に見えない」虐待を受けて育った人のパートナー選択から分かること
DV夫と結婚した人のパートナー選択から分かること
親との出会いが一生を決めるというIWM理論は法則ではなくて必然性
(3)パートナー選択の二つの基準──一緒にいられる安心と補いたい心
第一の基準──一緒にいられる安心
第二の基準──自分に補いたい「心」をパートナーに求める
それに気づけば「心の必然性」は変えられる
第六章 三つの心を使いこなすと大人は自由になる「成人II期」──父母性とは人を温かい気持ちで応援するという心のポジション
(1)心は三つのルートで人とつながる
三つの心のポジション──頼る、対等、保護する
TPOに応じて三つの心を使い分ける
親の「父母性」が弱いと子が不登校になる
(2)心が満たされると、必然が消えて自由になる
三六五日二四時間は人との交流
部長からの難しいメールを心のTPOで乗り切る
(3)愛着の実現は心の自由を実現する最重要ピース
階層構造の核になっている愛着
「心の法則4」人は三つの心でつながる
第七章 二律背反を知って大人の心は完成される──人生のあらゆる悩みを生み出す「葛藤」
(1)人とつながって安心したいから「規範」を作る
人とつながろうとする時に起こる二律背反
お母さんがしてくれた最初の約束
お母さんとの二つ目の約束が最初の心の緊張
社会規範は人とのつながりを保証して安心の土台になる
殺人事件のニュースで不安になる心を支えるのは「規範」
(2)つながるための規範が人生の悩みを生むという二律背反
トイレ規範は難なく守れるようになったけど
(3)規範に忠実すぎるとうつ病になる
Nさんがうつ病になって「知った」こと
「知る」とは、離れて全体が見えること
(4)規範と欲求との対立──葛藤の構造を「知る」
メイン・ディッシュの自由な選択を保証するもの
「べき」に縛られていると最後は死にたくなる
「べき」を知って葛藤を手放すと楽になる
カウンセリングは葛藤を小さくして消してしまう技法
おわりに 自由とは「心の法則」という必然を実現すること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けぴ
shincha
ひめぴょん
スリカータ
もちもちかめ