内容説明
歴史を適切に理解するには、それぞれの地域の人々が当時どのような価値観や考え方を持っていたのか、どのような行動様式であったのかを踏まえておく必要がある。しかし、そのことについて取り上げた歴史関係の本は少ないのではないだろうか。本書では中国史を題材として、内面に踏み込んだ視点から、当時を懸命に生きた人々の行動とその根底にある考え方を探る。中国の歴史を理解する上で踏まえておきたい、土台となるものごとを紹介した一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
59
なかなか面白かった。 前半は古典から。蛍の光で有名な人は、実は宴会のスターだった 彼がいなきゃ面白くない、と言われるぐらいの。 分かりやすい文体。 後半、現代でも盛んな死者に捧げる紙の品物いろいろ。高級なのもたくさん。フェラーリとかパソコン(死後も仕事?)2023/06/10
さとうしん
10
これも『古代中国の24時間』などに類する、今流行りの社会生活史の一種ということになるだろうか。著者の意を汲むと、本書は「中国を一例とする前近代人の思考と行動」ということになるか。やはり今の流行りらしく中国と日本との違いを強調しているが、中国との違いを強調することは、残念ながら今の日本では中国への偏見を持たせるだけの結果に終わる可能性がある。日本というより現代人との感覚の違いを強調し、前近代の日本との違いだけでなく共通点も提示した方が良かったように思う。2022/04/27
ピオリーヌ
9
皇帝という存在、暴力的な上流社会、日々の暮らし、世界理解の様相、の4部にわたり中国の歴史について語られる。中国の歴史の特質として、身分の上下格差のあまりに巨大なことがあげられ、欧州の市民、日本の町民層にあたる中間層は中国には結局生まれなかったという。この辺り、岡本隆司の著作にも通ずる内容ではないか。また、中国人は人生の目標を叶える場所として、何よりも現世を基本として考えていたとのこと。同著者の他の作品も読んでみたい。2022/08/06