生命の歴史は繰り返すのか?―進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

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生命の歴史は繰り返すのか?―進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む

  • ISBN:9784759820072

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内容説明

■地球の生命の歴史は、目を見張るような収斂の事例でいっぱいだ。眼や翼、木に登るトカゲは、何度も独立に進化した。一方で進化生物学者は、偶発性を示す例も数多く発見してきた。ランダムな遺伝的変異や、はるか昔のチョウの羽ばたきといった、ごくわずかな変化が、進化のたどる道筋をしばしば大きく書き換えた。この2つの力は、常に変わりつづける自然界で、それぞれどんな役割を果たしているのだろう? いま存在する動植物や、わたしたちヒトは、必然的に生まれたのか、それともたまたま運良く進化しただけなのか? ほかの惑星に存在する生命について、そこから何が言えるだろう?

■ジョナサン・ロソスは、進化生物学における最新のブレイクスルーが、いまなお続く科学界屈指の大論争にもたらした新たな知見を明らかにする。世界各地を訪れ、地球の生命史における最大のミステリーを、進化実験で解決しようと奮闘する研究者たちに出会う。ロソス自身も、このエキサイティングな新分野のリーダーのひとりだ。グッピー、ショウジョウバエ、細菌、キツネ、シカネズミ、そして彼自身のカリブの島じまのアノールトカゲの実験を通して、生命のテープのリプレイがおこなわれ、進化がきわめて急速に、また予測可能なかたちで起こりうることが明らかになる。

■本書は、進化についての考え方や、議論のあり方を一変させるだろう。自然淘汰と進化的変化に関するロソスの洞察は、生態系の保護、食料供給の安定、有害なウイルスや細菌との闘いに、広く応用できる。臨場感たっぷりに描かれた、この進化をめぐる物語は、わたしたち人類について、そして自然界や宇宙における人類の役割について、新たな理解をもたらすものだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

97
「進化は偶然か必然か」。もし6600万年前、白亜紀の空を横切る小惑星がメキシコ湾に衝突せず、近くをかすめて飛び去っていたら…。その後の進化の歴史は如何なっていたのか?進化のテープを巻き戻してみたらどうなるのか、多彩なフィールドでの観察や実験から推し量る。進化の道筋は偶発的で予測不可能、即ち非反復か?一方、共通の淘汰圧に対する適応として似たような特徴を進化させる収斂進化は予測可能性を示している。どちらが本質か?圧巻は30年(6万世代)にわたる大腸菌飼育。一株の大腸菌がクエン酸塩消化能力を獲得するのを発見。2020/05/27

アキ

69
進化生物学における収斂進化とは、水中を高速で移動するためには例えばサメ、魚竜、イルカのように流線型で紡錘型の形になるであろうという考え方。異なる進化の道のりから収斂がおこることも数多くある。研究者らは野生個体群にある条件下で統計学的検討を加え進化実験を行っている。まるで推理小説のように仮説を立て検証するという繰り返し。時に人体も研究の対象となる。微生物にとって人体は豊富な作物のようなもの。微生物も化学物質へ耐性を獲得する進化を繰り返している。確かなことは、ヒトという種は収斂の産物ではないということ。2019/09/13

HMax

34
私の進化の歴史はスティーブン・グールドのワンダフルライフで止まっていました。トロオドンが進化した際の姿、1980年代に描かれたまるで宇宙人のようなディノサウロイド、現代の仮説ではDinosaur Trainの Mr.Conductorに似た姿に。あちこちに収斂進化の結果があふれている、大人が牛乳を飲んでもお腹を下さないようになったのは、ある民族の遺伝子が世界に広がったのではなく、あちこちで別々に進化したから。なんと今では細菌の収斂進化を予測し治療薬開発に利用できる段階まできた。2020/08/08

那由田 忠

27
世の中には、何の役に立つのか不明な研究に膨大な時間と資金をつぎ込む研究者がいるのだ、というハーバード大学などを中心とするアメリカの学問研究に投じられた、物量作戦に唖然とさせられる本。似たゲノムを持っていると環境の違いに応じて似たような収斂進化をする。これは繰り返し可能な進化。他方で、異なる種では収斂進化と言ってもかなり異なる。また、全く別になることもあり、進化には、偶然と必然の不思議な絡み合いがある。ある意味、様々な国の歴史と同じことがある。QRコードで関連サイトや論文まで読めてしまうのがスゴイ。2020/03/17

Fondsaule

27
★★★★☆ 以前に読んだ、マット ウィルキンソンの「脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか」と同じ、収斂進化の話だ。 例えば、サメとイルカは魚類と哺乳類の違いはあれ、同じ様な形をしている。鳥類でも爬虫類でも哺乳類でも形は似たものに収斂進化して行く。でも、この本のすごいところは、それを実験で証明しようとするところだ。2019/10/20

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