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内容説明
火山灰に埋もれた都市の記憶を辿る――紀元79年8月、暑い夏の朝方に起こったヴェスヴィオ火山の大噴火により、灰に埋もれた古代ローマの地方都市ポンペイ。街角の壁面には一万数千点もの多種多様な落書きが残されていた。家族の無事を願う声、愛する二人の逢瀬の印、剣闘士に魅了された女性たちの切ない声援、皮肉を伴った罵詈雑言……まるで手に取るように人々の肉声が聞こえてくる。本書では当時のまま残された「落書き」を素材に、古代ローマ人の日常や素顔を再現する。巻末には、マンガ家のヤマザキマリさんと著者による特別対談を収録!※本書は2010年に講談社より刊行された『古代ポンペイの日常生活』を加筆・修正のうえ新書化したものです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
53
ポンペイ展を見て、すごく印象に残った勢いで買った。展覧会にも「落書き」の遺品があったが、図録と両方で、相当な程度、古代の人々の生活にふれることができると思う。それにしても、古代は小文字も筆記体もないはずで、ふつうのアルファベットだけなのに、この読みにくさは何だろう。しかしだからこそ気軽に書きちらした言葉だったと言えるかもしれない。古代において、識字率とは何を意味するか、文字とは結局何なのかという問題にもふれていると思う。なるほど「表音文字」か。今と考えていることは同じだと思う反面、さすがに古代と思う面も。2022/06/19
yyrn
25
2千年前の8月24日、噴火により一夜にして厚さ6mの火山灰に埋もれた古代ローマの都市ポンペイ。風光明媚なナポリ湾に面した土地で別荘も多く、様々な階級の暮らしぶりが当時のまま残され、特に市中いたるところの壁に残された掲示文や落書きから色々なことが分かると教えてくれる本。選挙の公約や推薦文だったり、剣闘士の戦いに熱狂する檄文だったり、男女の仲に関する艶文だったり、人間の思考は2千年前とあまり変わっていないことが分かる本でもあった。初版は1996年で、その後の発掘成果が加えられて再々販されたもの。売春宿での⇒2022/10/14
ふう
18
巻末の対談でヤマザキマリさんが指摘した通り、イタリアでは落書きがそこらじゅうにあって、乏しい体験から言うと、南ほどひどい。(と書いて、ひどいという価値判断は一面的な見方だなあ、と嘆息)しかしその落書きから垣間見えるポンペイの人々の生活の猥雑さが楽しい。選挙も剣闘も売春宿の落書きも、生身の人間の姿を捉えて興味深い。ポンペイ展の機会にさっくりと入門書が読めて良かった。2022/08/06
naka
7
古代ポンペイの街に残された落書きから当時の様子を類推している本です。選挙の応援や、剣闘士に関するものから字の練習をしているものなどあり、当時の人たちの生活が窺え、今ならSNSにあるような落書きもあり面白いです。2024/01/06
miho
7
来週、ポンペイ展へ行くのでその予習に読んでみた。落書きというとあまり良くないイメージがあるが当時のローマではコミュニケーションのひとつというか今のSNSのような役割があったらしい。選挙の宣伝から誰かの悪口、報われない思いや日々のやるせなさを書き綴ったもの、当時の人々の生々しい暮らしぶりがリアルにわかってとても興味深い。2000年以上昔なのに人の感情というのはこうも同じものなのか。読んでよかった、ポンペイ展がますます楽しみになった。2022/06/13
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