しろがねの葉

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しろがねの葉

  • 著者名:千早茜【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 新潮社(2022/09発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784103341949

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内容説明

戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

1028
千早茜の作品を読むのは9作目なのだが、本書はこれまでのものとはテーマも文体さえも全く違っており、ほとんど別人であるかのごとくである。そもそもが時代小説であることからして意表を衝いている。時は関ヶ原の戦いの前後、物語の舞台は石見銀山である。たとえ政権が代ろうとも、ここ銀山では何も変わらない。男たちは坑道で銀を掘り、死んで行く。女たちは子どもを産み育て、男の子を銀山に捧げて生きていくのである。本書はそうした宿業を描くのだが、それは作家をダブルバインドで縛ることでもあった。すなわち、宿業を巧みに表出する⇒2024/01/09

starbro

853
第168回直木賞受賞作・候補作、5作目(5/5)、直木賞発表前にギリギリ何とかコンプリートしました。千早 茜は、新作中心に読んでいる作家です。本書は戦国時代の経済を支えた石見銀山に棲む鬼娘の哀しい物語、直木賞受賞も納得の秀作でした。少し銀の毒に痺れたかも知れません。先日の島根旅行で時間がなかったため、石見銀山に行けなかったのが心残りです。 https://www.shinchosha.co.jp/book/334194/ 2023/01/19

さてさて

841
『あんたは何故生きる』。そんな問いかけの先に壮絶な人生を生き抜いていく主人公・ウメの生き様を描いたこの作品。そこには、時代は違っても自らに誇りを持ち、気高く生きるひとりの女性の姿がありました。『銀を掘れば米が食える』という言葉の意味する光と影を鮮やかに描き出すこの作品。時代を超えてリアルにその”生”が感じられる生々しい描写に息を呑むこの作品。千早茜さんの濃厚な筆の力で、生きていくことの不条理さを古の世の人々の暮らしの中に鮮やかに描き出したこの作品。流石の直木賞受賞を感じさせる素晴らしい作品だと思いました。2023/06/03

ミカママ

738
想像とはまったく方向違いの作品だった。幼い頃、両親とはぐれ、石見銀山の山師に拾われたウメ。彼女の過酷な人生を綴ったものだが、彼女を愛する男たちがいい。ウメはそんな男たちに護られながらも、男たちは山での仕事で次々に命を落としていく。勝手にウメのお仕事小説だと思って読み始めたが、そうではなく彼女の一代記、そして(わたしにとっては)恋愛小説でもあった。良作。2023/09/10

bunmei

718
第168回直木賞受賞作品。戦国末期に、銀の採掘で最盛期を迎えた石見銀山を舞台にした歴史巨編。当時の石見銀山の繁栄の影における、銀掘達の死と隣り合わせの厳しい労働の様子や、子を産む事だけを生業とし、虐げられてきた女性の立場を中心に描かれている。それを銀山で生きる1人の女性・ウメの生涯を通して、当時の生活を如実に表している。初読み作家さんながら、死や現状に抗いながら、力強く生きるウメの生き様と共に、本能としての性を官能的な表現で醸し出し、強烈なインパクトを突きつけてくる、直木賞に相応しい読み応えある一冊だ。2023/01/25

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