文春e-book<br> 嘘つきジェンガ

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文春e-book
嘘つきジェンガ

  • 著者名:辻村深月【著】
  • 価格 ¥1,800(本体¥1,637)
  • 文藝春秋(2022/08発売)
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  • ISBN:9784163915845

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内容説明

つい重ねてしまった嘘の先に……
『鍵のない夢を見る』から10年、辻村深月が詐欺を描く。幸せが欲しくて嘘にすがりついてしまう人間の哀しみが、心に迫る3篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さてさて

778
“騙す側”と”騙される側”。この作品ではそれぞれの”側”に回った人たちの心の内が感情の機微の描写の中に描かれていました。『一線を越えてしまったら、もう戻れない』と”騙す側”に堕ちる危険を教えてくれるこの作品。『今の私だったら、絶対に騙されない』と”騙される側”に回った過去を見るこの作品。”騙し、騙される”感覚を『ジェンガ』というバランスゲームの危うさに比喩するこの作品。“騙し、騙される”という犯罪行為が描かれているにも関わらず、極めて読後感の良い結末に、辻村さんの語りの上手さを感じた素晴らしい作品でした。2022/08/27

パトラッシュ

763
人は誰も現状が不満でたまらず、もっと金持ちになるか才能を認められるか名誉を得るなどして周囲に高く評価されたいと願う。第1作で耀太を詐欺に誘う幼馴染が「みんな、こっちがびっくりするくらい、自分に夢見てっから」と喝破する通りだ。そんな現状変革の手段として詐欺に手を染めたり、逆に引っかかってしまう悲喜劇は愚かにも哀しい人の性か。無論、辻村さんは詐欺絡みの人間模様だけでは終わらせず、騙し騙されの果てに新たな道を見い出す姿を持ってくる。何だか「犯罪は割に合う」とすら思えてしまう苦いユーモアが、鮮やかな読後感を結ぶ。2022/09/21

starbro

739
辻村 深月は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の最新作は、詐欺に纏わる連作短編集、オススメは『あの人のサロン詐欺』です。危ういジェンガの雰囲気が醸し出されています。 https://books.bunshun.jp/articles/-/7386?ud_book https://anchor.fm/hon-web/episodes/ep-e1mhb04/a-a8crr7l2022/09/19

bunmei

708
他者や世間からの視線の中で、自分だけが取り残されていくような孤立感や哀しみを募らせていく人々。そんな人達が、コロナ禍では特に多くなり、少し見栄を張ったり、幸せを望んだりしたばかりに、ついてしまった嘘。その嘘がバレないように、次々と嘘で塗り重ねていく現状は、ほんの一瞬の気の緩みで、ジェンガのごとく一気に崩れ落ちていく。本作では、本来は決して悪ではない主人公達が、いつしか騙し、騙されて、身動きが取れなくなり、底なし沼に足を取られていく悲哀が描かれている。決して共感はできないが、その衝動は、察することはできる。2022/09/06

まちゃ

609
コロナ禍、子供の受験、叶えられない夢。追い詰められ、何かに縋った人々が巻き込まれた詐欺をめぐる3つの物語。どの物語も希望のある結末で読後感は良かったです。人生とは微妙なバランスを保つことで維持されていると感じる優しい作品でした。2022/10/08

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