講談社現代新書<br> 歴史学者という病

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講談社現代新書
歴史学者という病

  • 著者名:本郷和人【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2022/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065260975

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内容説明

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    ぜんぶ、言っちゃうね。
 
このままでは日本の歴史学は崩壊する!?
歴史を愛する人気学者の半生記にして反省の記――。
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歴史学は奥も闇も深い

●「物語の歴史」と「科学の歴史」の大きな違い
●時代が変われば歴史も変わる怖さ
●実証と単純実証は断じて違う
●皇国史観VS.実証主義の死闘
●教育者の一流≠研究者の一流
●修業時代とブラック寺院
●私は認められたかった
●「博士号」の激しすぎるインフレ
●「古代+京都」至上主義の嫌な感じ
●「生徒が考える」歴史教科書はNGだった
●歴史学衰退の主犯は大学受験
●私を批判する若い研究者たちへ
●唯物史観を超えるヒント
●網野史学にも検証が必要だ
●民衆からユートピアは生まれるか
●「日本史のIT化」は学問なのか
●次なる目標はヒストリカル・コミュニケーター

本書のテーマは「歴史学者」、つまり歴史を研究するということの意味について考えること――だ。(中略)聞きようによっては、同僚や他の研究者の批判に聞こえてしまうようなところもあるかもしれないが、もちろん個人攻撃や人格攻撃などの意図はまったくない。あくまで学問的な批判だと考えていただければよい。ここまで心中を正直に吐露したのは本書が初めてであろう。

 幼年時代の私は、偉人伝などをはじめとする「物語」としての歴史にハマった。だが、本格的な歴史研究者を志すために大学に入ると、そこには「物語」などではない、「科学」という、まったく新しい様相の歴史が待ち構えていた。
 学生時代の私は、史料をひたすら読み込む「実証」という帰納的な歴史に魅了された。その一方で、いくつかの史実をつなげて仮説を組み立てようとする演繹的な歴史のもつ面白さにハマった時期もあった。だが、実証を好む人々からは「仮説」というものは徹底して異端視され、しばしば私も批判されることになった。
さらに学びを深めるうちに、歴史学、歴史というものは決して悠久でも万古不易でもなく、それどころか、むしろその時代のもつ雰囲気や世論、世界の流れなどによって、簡単に姿を変えてしまう、ある意味恐ろしいものなのだという現実も知った。また、受験科目としての安直きわまりない「歴史」が、数多くの歴史嫌いを大量生産し、結果的に歴史という学問の著しい衰退を招いてしまっている事実にも言及したい。
 こうした機微な話は歴史の授業や歴史学の講義ではなかなか話題にならない。(「はじめに」を一部改稿)

目次

はじめに
第一章 「無用者」にあこがれて   ――幼少~中高時代
立身出世は早々にあきらめ、好きなことをして生きようと思った
第二章 「大好きな歴史」との決別  ――大学時代
歴史は物語ではなく科学――だから一度すべてを捨てる必要があった
第三章  ホラ吹きと実証主義   ――大学院時代・そして史料編纂所へ
徹底的に実証主義的な歴史学を学んだ、そしてホラの吹き方も――
第四章  歴史学者になるということ  ――史料編纂所時代 そして新たな道へ――
終章   日本史王にオレはなる!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ

91
ふとキオスクにて手にして興味深そうなので購入した一冊。日本史学の流れや我々が知らぬ明治から続く国史編纂の世界。東大を軸にした学者の世界。正統な書き方でない故、こんなふうなのかとか、こんな事が世界があるのだとか興味深く拝読。逆にそこら辺りに興味ない方に取っては穿った書として読む必要がないと感じられてしまうだろう一冊。2022/10/23

skunk_c

84
最近ちょっと多作すぎないかと思っていた著者の新作だが、これは面白かった。自分とほぼ同世代の著者の学者としての成育記のような本だが、皇国史観、唯物史観に対する感覚とか、実証主義のの本質とか、史料自体を疑うとか、腑に落ちる話が多い。この10年歴史を仕事で扱ってきた中で(その基礎を固めてくださるのが歴史学者の仕事と理解している)、感じてきたこととかなりかぶった。本書によれば著者の教え子など若手に「タコツボ」的研究者が結構いる様子。このままではそれこそ網野善彦のような「大きな視野」の学者は出ないかもしれない。2022/10/03

tamami

73
以前から本書の著者である本郷和人先生の著作を読む度に、その面白さに浸り込み、滾々と湧き出るごとくに出てくる歴史上の知識や解釈に圧倒される思いがしたものであるが、その源泉がいずこから来たのか、秘密の一端が本書で明らかにされているように思う。本書の構成を一瞥すれば、幼少期から東大受験までの知的な出会いを描いた第一章、一流の教育者に出会い歴史学にロマンは要らないと、それまでの路線変更を迫られた大学時代を描く第二章、徹底的に実証主義的な歴史学を学び、人生最悪の遅刻という事態にもめげず、念願の史料編纂所入所を果たす2022/10/10

さすらいの雑魚

38
ブタに歴史はありますか? 超パワーワード!平泉澄すげぇ。 それはさて置き、本筋は以下。 おぉ!まるで熱血実証史学者群雄伝だ。歴史好きのキミ!面白いから読んどきな♪今までと違う角度で読書が進むよ。 何人でも無かった私達と同じような歴ヲタ少年が、いかにして実証史学のプロフェッショナル(プロフェッサーともいふ)を志し、惑い躓き歩み続け、ついに己の天命を知る。そんな素敵なビルドゥングスロマンにもなってる。一粒で2度美味しく高コスパね😁考える事を止めるな。究極の問を発せよ。さらなる高みへ!と煽ってる、気がした♫2023/01/01

おかむら

37
表紙で碇ゲンドウモノマネをしてる所からも窺える、たぶん変わり者の歴史学者(学者さんはみんなどっか変人だけども)の半生記。これ楽しい! 日本史の授業が苦手だった人でも楽しめます(と思う)。「豚に歴史はありますか」と言い放つ大先生とか最高か! そして個人的ですが、本書でも出てくる司馬遼太郎の龍馬が行くと新撰組血風録が好きすぎて日本史学科を選んじゃって入ってみたらアレなんか全然違うとなった学生時代を思い出しました。全然向いてなかったはずだわ…。去年の鎌倉殿見てるとなるほどとなるエピソードも。見ててよかったー。2023/02/06

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