文春e-book<br> 直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

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文春e-book
直立二足歩行の人類史 人間を生き残らせた出来の悪い足

  • ISBN:9784163915838

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内容説明

「定説となっている考えを、論理的に打ち砕く破壊力を持っている」
――更科功氏、驚愕!

生命40億年の歴史のなかで、人類だけが直立二足歩行をして生き延びた。
それはいったいなぜなのか?
直立二足歩行の起源とは?

現役バリバリの古人類学者にして、「足と足首の専門家」である著者が、レジェンド人類化石や最新化石、さらには現代人の歩行や二足歩行ロボットの研究現場までを訪ね歩き、この永遠の疑問に迫る、痛快科学ノンフィクション。

チンパンジーと人類が分岐したのは約600万年前と言われる。四本足で歩いていた共通祖先から人類は二本足で立ちあがり、やがて道具を手にした……そうした一本道のイメージで人類進化をとらえている人は多いだろう。

しかし、著者が訪ねたドイツの発掘現場には、衝撃的な化石が待っていた。人類揺籃の地であるアフリカではなくヨーロッパの、1100万年も前の地層で、「樹上で」二足歩行していた類人猿「ダヌビウス・グッゲンモシ」の化石が見つかったのだ。

さらに近年、同じく樹上で二足歩行していた「ルダピテクス・フンガリクス」も発見された。

一方、定説で想定されている「600万年前頃の、四足歩行する大型類人猿」という、人類とチンパンジーの共通祖先の化石は、いまだに見つかっていない。

……もしかして、1000万年前頃のヨーロッパには、樹上で二足歩行する類人猿がいろいろいたのかもしれない。そのなかの一つの系統が、アフリカに進出して、立ったまま地上生活を始めたのかもしれない。

さらに、著者は新種の古人類「アウストラロピテクス・セディバ」が、現代人とは異なる歩き方をしていたことを突き止める。

これまで積み上げられてきた人類史は、いま大きく動こうとしているのか。人類が立ちあがったのではなく、チンパンジーが手をついた? さまざまな歩き方の人類があちこちでさかんに歩き回っていた? 人間が人間になれたことに、二足歩行はどう役立ったのか?

現在もっとも熱い分野の最先端の現場を生き生きと楽しく活写する、古人類学愛に満ちた一冊。読めばきっと、すばらしく便利でものすごく不便なこの二本の足が愛おしくなる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

223
副題「人間を生き残らせた出来の悪い足」が妙に気になって読んでみた。予想以上の面白さ。”出来が悪い”のに生き残った、いや出来が悪いからこそ生き残ったのだった。「直立」にも大きな意味があった。人間のみが、直立して生き残った! 「足首専門家」と自ら名乗る気鋭の古人類学者の名著だ。「歩けば脳が動き出す」の章が出色。転ばないように、出来るだけ歩かねば、としみじみ思う。2023/11/20

ばたやん@かみがた

103
《人類の起源から現代の我々の体まで。良書》(1)他の動物との最大の違いである「直立二足歩行」について、足首を専門とする古人類学者がその起源、進化、そして現代の我々の心身に与えている影響を見て行きます。それそれが第1~3部に該当する分かりやすい構成。さらに、1章1章も1つのテーマに沿って短く簡潔にまとめられていて大変読みやすい。おススメの本です。 (2)何と言っても、人類学を志すことになった若いときから、化石人骨に向き合い続けてきた著者のそれらに対する「愛」の熱さに中てられます。(1/4)2023/01/29

yamatoshiuruhashi

58
何故、人類は二足歩行を選んだのか。道具を使うため?周りを見やすくするため?あるいは?映画「2001年宇宙の旅」の序章で人類が他を攻撃するために骨を使う場面を引用して、その考えの影響力の大きさに言及しながら、著者自身の考えをあらゆる「ホミニン」(これまでに沢山存在した人類)の化石を解剖学的に検証し、肉付けして解説してくれる。私のように全く専門知識はないが、進化や古生物などに興味があるだけの素人に分かりやすく、新鮮な考えを提示してくれる。興奮の一冊。手放せず出張にこの大きな本を持参して荷物を増やしてしまった。2022/10/07

yyrn

29
登れそうな木を見ると無性に上りたくなるのは、有史以前(なんと200万年も前!?)から現生人類の祖先は直立二足歩行で木の上で暮らしていたから?ホント?何で?それで?と質さずにはいられない、好奇心がかき立てられる本だった。場所や年代もちがう地層から出土した様々な化石の僅かな違いや類似性を手掛かりに、まるで推理小説の中で名探偵が証拠を示しながら謎を解き明かしていくような面白さで、なぜ猿人類とたもとを分かちアウストラロピテクスだけが二本足で歩くようになったのか?四足歩行から二足になったのではないかもってホント?⇒2022/10/29

ばんだねいっぺい

26
ちょっと肩透かしを食らった感もあるが、出来の悪い足であるが故に利己的に生きるのは難しくなり、群れとして生きていく「集合知」が発動したということか。歩くことは健康法ではなく、デフォルトであるという見方の効用は大きいかもしれない。2024/02/05

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