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内容説明
「あさが来た」のモデルになった豪商廣岡家。彼らが活躍した江戸時代から昭和までの波乱の歴史をたどる。
現代金融取引の先駆でもあった大坂豪商の様々な役割を現代的な視点と一次史料の精査によって明らかにする!
目次
プロローグ──豪商の大坂 (高槻泰郎)
第1章 大坂金融市場の形成──米市場の誕生と加島屋の創業 (高槻泰郎)
第2章 堂島米市場の誕生──デリバティブ取引の活況と加久の躍進 (高槻泰郎)
第3章 大名貸の展開──豪商はいかにリスクをコントロールしたか (酒井一輔)
第4章 廣岡家の明治維新──時代の転換と豪商の危機対応 (小林延人)
第5章 昭和金融恐慌の打撃──加島銀行の終焉 (結城武延)
第6章 新しい金融事業への参入──大同生命保険会社の設立 (結城武延)
エピローグ 高槻泰郎・結城武延
索引
〔コラム〕
江戸幕府の経済政策と加島屋久右衛門 [高槻泰郎]
廣岡家の邸宅について [高槻泰郎]
廣岡家の暮らしを伝える生活文化財──節句飾り [服部麻衣・谷直樹]
加久と茶の湯 [倉林重幸]
信心と経営──西本願寺の大パトロンとしての廣岡久右衛門 [芹口真結子]
廣岡浅と三井家──豪商たちの閨閥 [村和明]
日本女子大学校と三人の輪──成瀬仁蔵と土倉庄三郎と廣岡浅 [吉良芳恵]
祖父・廣岡久右衛門正直とゴルフ [岡橋清元]
廣岡家に伝わるエピソード [西野久子]
「豪商の金融史」用語集
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
30
江戸時代の大阪の豪商廣岡家をモデルケースに江戸時代の金融システムと明治時代になって金融がどのように変わったのかを研究・考察した一冊。一般向けを意識して書かれており、読みやすく、用語の説明や息抜きのコラムも充実している。肝心の本題も興味深い。特に大阪が江戸時代の金融の中心になったかが、物流の中心であるため、担保をとりやすいこと『大阪法』により債権者が(他の地域よりも)保護されていたこと、現金ではなく手形取引がメインになっていたことを挙げて説明している。米市場の取引も図付きで説明しているので大変分かりやすい。2022/08/17
koji
15
この書は、高槻先生をはじめ編著者のたいへんな労作です。40年近く金融業に従事していたこともあり、江戸時代から明治・昭和に至る大阪の豪商の栄枯盛衰にはまるで推理小説を読んでいるような興奮を覚えました。さて著者の問題提起(p292)<なぜ江戸期に大名貸で隆盛を誇った広岡家は昭和期に銀行破綻に追い込まれたか。>に感想を書いてレビューとします。一言で言えばリスク分散、付利を追わない、実務だけでなく金融哲学を考察する家訓の存在と伝承がどうであったかではないか。これはバブル崩壊、金融危機を経験した実務家視点の感想です2024/01/17
TheWho
14
江戸期に鴻池や三井に匹敵する豪商であった加島屋(廣岡家)の公開された廣岡家文書を基に江戸時代から明治維、昭和恐慌を経た豪商の金融史を克明に物語る一冊。特に印象深かったのは、生産性が向上しつつある江戸期に貨幣の量が追いつかずデフレ状態を大阪商人は、米切手や手形取引でいち早く管理通貨制度を民間レベルで実施していた点であった。そして、それが米本位制に繋がり、飢饉発生時の対応ができなかった事に気付かされた。改めて金融・経済から歴史を観る重要性を気づかされた一冊です。2023/04/05
フク
12
#読了 大同生命を設立した豪商・廣岡家の記録から近世〜近代の金融史を辿る。 江戸時代の大名家ですら経済観念がアウトなのは驚いた。 読み友さんから拝借2022/09/30
Yuki2018
5
江戸時代トップクラスの豪商・加島屋を通じ近世以降の日本金融史を語る。冬・夏の陣で灰燼に帰した大阪は幕府直轄化され、地の利も活かして年貢米の集積地となる。諸大名は中之島に蔵屋敷を構え米市場で資金を調達した。嵩張る米俵の代わりに米切手という証券が用いられ、先物取引市場も形成されている。物流が金融市場に繋がっていく過程は普遍的なものかもしれない。加島屋は大名の信頼を得て蔵元として売り捌きと大名貸でのしあがった。自己売買に手を出さない家訓、与信先分散と大名財政への関与等のリスク削減策も印象的。非常に勉強になった。2023/04/15
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