地下出版のメディア史

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地下出版のメディア史

  • 著者名:大尾侑子【著】
  • 価格 ¥4,950(本体¥4,500)
  • 慶應義塾大学出版会(2022/07発売)
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  • ポイント 1,350pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784766428032

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内容説明

近代日本の誇る教養主義の「裏通り」を一望する!

軟派出版の世界で、道楽知識人たちは国家権力と戯れ、一大文化空間を築いた――
「低俗」出版文化の歴史と「書物」「エロ」への欲望を可視化する意欲作
近代日本の出版文化は、岩波書店と講談社に代表される「知識人/大衆」という対比構造によって、しばしば教養主義の観点から論じられてきた。しかし、読書が大衆化した時代に、この図式に収まりきらない非正統的で「知的」な地下出版空間が存在した。
本書では、これまで閑却されてきた非公刊の軟派出版(性風俗、猟奇、犯罪を取り扱った刊行物)とその版元に注目し、教養主義の言説空間との関係性から捉え返すことで、地下出版界をメディア史的に体系化する。
「好色出版の帝王」梅原北明、「書痴」斎藤昌三、「軟派出版界の元老株」伊藤竹酔、「毒舌和尚」今東光など、多くの出版人の足跡を追いながら、同時代の社会運動や芸術運動とのかかわりのなかで広がった「知のネットワーク」を明らかにする。

目次

序 章 教養主義の「裏通り」

第一部 地下出版界の前史

第一章  〈社会運動〉としての自費出版同盟――毒舌和尚・今東光と雑誌『文党』の挑戦

第二章 文藝市場社の「誕生」――烏山朝夢から梅原北明へ

第三章  「直筆原稿」のメディア論――文藝市場社の設立と直筆原稿叩き売り

第二部 地下出版界の成立過程

第四章 〈変態〉な教養/教養としての〈変態〉――逆立ちした教養主義

第五章 愛書趣味とオブジェとしての書物――軟派出版界と限定本の快楽
 
第六章 〈談奇〉の表象と東アジア――理想郷イメージとしての上海

第三部 地下出版界の成熟と瓦解

第七章 「地下出版」の最期――大衆化するエロ・グロ・ナンセンスと珍書屋の受難

第八章 「裏道の文化」の行方――戦後に残された軟派出版界の残滓

終章 「攪乱」する思想としての地下出版


付録 昭和「地下出版界」関連年表――梅原北明とその周辺
あとがき
参考文献一覧
図版出典一覧
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

19
1920年代から30年代にかけて「エロ(性風俗)・グロ(犯罪、猟奇)」というジャンルに特化し「軟派出版界」と呼ばれた地下出版メディアに関する研究書。梅原北明を中心としたネットワークを社会学的に分析し、『変態十二史』といった叢書や様々な会員制雑誌の出版活動と当時の検閲状況も辿る。高級文化を気取る岩波文化とも低俗で粗末なカストリ文化とも違う、「高級文化としてのエロ・グロ」と呼ぶべきメディア文化圏が存在しており、特に「変態」と「教養」についての論考は、なかなかどうして奥深いものがある。このテーマの学術書は貴重。2022/12/30

志村真幸

4
 著者は社会学、メディア研究の研究者。  本書は、戦前の地下出版を代表する北原北明の足跡を追ったもので、そのなかから教養主義に相対するものとしての出版文化を浮かび上がらせ、改めて位置づけようと試みている。  構想が壮大であり、導かれる結論も説得的。これまで趣味人のあいだでは知られていた世界に、学術的な光を当てた点に価値がある。利用されている資料も膨大で、あちこち目が行き届いている。  いささか若書きの印象はあるものの、出版文化史、メディア史を一変させる可能性をもつ重要な一冊と思う。 2022/10/31

turutaka

0
00年代中盤までくらいのエロ本のエロくないページが大好きだった。サブカルオカルトなんでもありのバリトゥードスタイル全開のあのページの祖先はこんなところにあったのかなぁと思う。 インディペンドな出版が戦前からこんなふうに戦っていたという記録。 少々読みにくいが面白い。2023/08/31

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