内容説明
本書は、NHKの未公刊一次資料やGHQ文書を用いながら、批判的談話研究(CDS)の枠組みに依拠して、占領期のラジオ番組『真相はこうだ』『真相箱』『質問箱』『街頭録音』における民衆の声の分析を行い、「マイクの開放」の内実を検証する。
目次
はじめに
第一部 マイクに拾われた声を聴きなおす
第一章 占領期ラジオ放送の批判的談話研究──理論と方法
第二章 「マイクの開放」からみるラジオ史──本放送開始から占領開始まで(1925~1945年)
第二部 支配を生む〈声〉
第三章 「真実」が進軍を始める〈声〉――『真相はこうだ』(1945年12月)
第四章 「我々」の戦争責任を問う〈声〉――『真相箱』(1946年5~7月)
第五章 親米民主化を「面白く」する〈声〉――『質問箱』(1946年12月)
第三部 人間を生む〈肉声〉
第六章 CIEとNHKが集める『街頭録音』の〈声〉――「民主化ショー」から「生々しい社会番組」へ
第七章 大衆を露わにする〈肉声〉、あるいは民衆を消す〈声〉――涙する投書と太宰治「家庭の幸福」
第八章 「人間」を廻り合わせる〈肉声〉――「ガード下の娘たち」(1947年4月)と田村泰次郎「女狩りの夜」
終章 占領期ラジオ放送と「マイクの開放」──からっぽのラジオの向こう側へ
注
あとがき
参考・引用文献一覧
索引