無垢なる花たちのためのユートピア

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無垢なる花たちのためのユートピア

  • 著者名:川野芽生【著】
  • 価格 ¥1,799(本体¥1,636)
  • 東京創元社(2022/06発売)
  • 盛夏を彩る!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/28)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488028589

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内容説明

舷(ふなばた)から墜ちていった少年の名は、白菫(しろすみれ)といった。船は純真無垢な少年たちと智慧ある導師を乗せ、楽園を目指して天空の旅をしていた。かれの墜落死は不運な事故とされた。この希望に溢れた船上に、みずから身を投げる理由などあるはずがなかったから。けれど、親友の矢車菊(やぐるまぎく)には気がかりなことがあった……。幻想文学の新鋭による初の小説集。/【目次】無垢なる花たちのためのユートピア/白昼夢通信/人形街/最果ての実り/いつか明ける夜を/卒業の終わり/解説=石井千湖

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

112
花季(はなどき)を迎えた時節のように、心を穏やかに惑わされるような読み味を覚えた短篇集だった。言葉は詩的で美しいが、むしろ芯のあるぶれない強さに惹かれた。美しいものを眩しく眺めるのではなく、そこに付随する蠱惑的なもの、畏怖なものを直視する、ただ無垢な目線で。ディストピアの果てにある世界はどんな世界か、何が望まれるのか。それは異世界ばかりの話ではない。白昼夢の中で「何から書き始めたらいいのか分からない」という問いの始まりが「卒業の終わり」をもたらし、「最果ての実り」を知ることで「いつか明ける夜」を迎える。2022/10/27

カフカ

64
六篇からなる幻想小説集。冒頭の「真っ逆様に堕ちてゆくとき、天使はもっともうつくしく見えるのかもしれない。」から心を鷲掴みにされました。全ての篇がきらきらと美しい言葉たちで紡がれた少し仄暗い幻想世界で、ときめきが止まらなかった…。好物のディストピアもちらほら。とりわけ好みの作品は表題作と、「卒業の終わり」。閉鎖的な空間での少年少女の話、好きですねぇ。ちょうど女学生ものが読みたいと思っていたところだったので、ことさら楽しめました。川野芽生さんにすごく魅了されてしまったので、歌集「Lilith」も読まねば!2022/09/02

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

31
気鋭の歌人で研究者でもある川野芽生(めぐみ)の初の小説集。短篇・中篇6作品を収録。きらきら輝きをまとった言葉の連なりで描かれる幻想的な世界は、理不尽で残酷だけど、優しい。堕天使をモチーフに、密室ミステリーの趣を持つ表題作がベストだと思って読み進めたけれど、奇妙な女学校で生活する生徒たちのその後を描く『卒業の終わり』も素晴らしい。ハッピーエンドは一つもないけれど、希望の欠片を感じる読後感。その他の収録作品は『白昼夢通信』『人形街』『最果ての実り』『いつか明ける夜を』。 2023/01/21

livre_film2020

29
この物語をこの世に生み落としてくれてありがとう、と本気で感謝した。表題作は男性による男性へのレイプ被害を描いていると思った(まさにジャニーズ問題)。佳人が人間になる「人形街」はルッキズムについて。最後の「卒業の終わり」はヘテロであることを求められる現代について批判している。特に最後の「卒業の終わり」での男女の会話は私もしたことがある。才色兼備な女性は優秀な男性を望み、得ることが当たり前なのだと押し付けられる。そういった苦しさを耽美に描く。日々、違和感を感じる人にぜひ読んでほしい。2023/12/29

タカギ

28
良かった。短編が6つ。幻想×SF×ジェンダー。私は「幻想的」という言葉にびびってしまう想像力が低い読者なのだが、そんな人でも読めました。表題作は、77人の少年と7人の導師を乗せた船が、楽園へと飛んでいる。この7という数字がミソ。この話と対になる最終話の「卒業の終わり」は少女たちの話。どちらも奪われる話だが、自分が女性のためか、やはり後者の方が許し難い。とても美しい文章に的確な表現力で引き込まれる本でした。2022/10/21

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