内容説明
劇作家、小説家、評論家として活躍した耽美派詩人、さらに医師、画家、キリシタン研究家としても知られた多能の人が遺した深い思索。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
19
医師であり、詩人であり、作家であった木下杢太郎。医学と文学の二刀流と言うと、森鴎外や安部公房、加藤周一が思い浮かぶ。みな医学者らしい理知的な文章であるが、同じく理科系の寺田寅彦などの瑞々しい文章と比べると、やや乾いた印象も受ける。この随筆集も、頻繁に挟まれる外来語の多さも一因かもしれないが、どこか深く入り込むことができなかった。大阪や京都の旅も、アメリカやキューバの旅も、医師らしいつぶさな観察眼の裏返しであるが、観察者、傍観者のようなところが気になってしまう。⇒2022/10/11
クラムボン
12
図書館の新刊書のコーナーにありました。木下杢太郎は伊豆・伊東の出身なので身近な存在ではあるが、彼のことは何も知らなかった。明治18年生まれ、皮膚科の医師で帝大教授、そして詩人文筆家でもあった。自身森鴎外に似た経歴を持ち、終生尊敬していた。ここには紀行文とエッセイが掲載されている。前半は20代半ば、後半は40~50代が中心。文体が全く違う。若い頃は文語体。明治の時代性と当時の文学青年特有の外来語や難解な言葉を使った耽美的な表現だ。私はこのタイプの文章は苦手です。後年の口語体で分かり易い文章の方が好み。2022/06/04
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