千代田区一番一号のラビリンス【電子改訂版】

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千代田区一番一号のラビリンス【電子改訂版】

  • 著者名:森達也【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • (株)現代書館(2022/04発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784768459133

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内容説明

皇室を巡るタブーに一石を投じる「問題小説」。

主人公のドキュメンタリストは、天皇の生の言葉を引き出したいという熱情に突き動かされ、象徴天皇制の本質に迫る番組企画を立ち上げた。
そして、ついに企画実現の突破口を探り出す!
平成の世。天皇ご夫妻の日常生活をドキュメンタリー作品
として記録したい。ある映画監督の宿願をこの物語に託す !

【著者】
森達也
1956 年広島県呉市生まれ、映画監督・作家。明治大学特任教授。1997 年ドキュメンタリー映画「A」を公開。その後、「A2」「FAKE」「i-新聞記者ドキュメント-」等の監督を務める。著書『「A」撮影日誌』(現代書館)、『放送禁止歌』(知恵の森文庫)、『下山事件(シモヤマ・ケース)』(新潮文庫)、『いのちの食べかた』(角川文庫)、『死刑』(朝日出版社)等多数。

目次

プロローグ「タヌ吉はまた別よ」
1 日比谷通りの交差点「今の天皇に似ている人か」
2 ブリトーとランチ「穢れが感染るから」
3 信号はいつも青「もちろん理由は知っています」
4 実家に掲げられた写真「だから燃えるゴミよ」
5 御所のラビリンス「ちょっと様子を見てこない?」
6 デートの夜「性欲はあるの?」
7 床の穴「触らなければ扉を開けられない」
8 憲法一条「おまえはこの企画の提案者じゃないか」
9 再会「ごたごたうるさいよ」
10 タブーを撮る「断言するけど数字は絶対にいい」
11 百十三年目の直訴状「つまりメイキングを軸にする」
12 隣室のゴソゴソ「私たちは何の音を聞いたのかしら」
13 一般参賀「あなたは秋篠宮殿下かしら」
14 過程を撮る「愛されているよ」
15 阻もうとする人たち「だからタブーなんだよ」
16 一般参観の午後「ケガレ思想だと思うよ」
17 会えるかもしれない「だからご会釈願うだってば」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

128
夫婦の会話からこの小説は始まる。明仁と美智子と呼び捨てにされた二人の名前を見て、えらいものを読み始めたと緊張する。決して天皇制を揶揄する作品ではない。上皇・上皇后陛下と一緒に、「象徴とは何か」「歴史とは何か」「穢れとは何か」を悩む。本書は、天皇制を問うというより、皇室報道に対して徒に神経質である社会やマスコミの「皇室タブー」に一石を投じている。ドキュメンタリーの旗手・森達也さんが描くこのフィクションは確かに問題作である。多くのメディアが本書を黙殺していることが、この作品が持つ地雷の恐ろしさを物語っている。2022/06/16

ケンイチミズバ

101
実はNGではないこともそれをNGだと思う人が増えたからNGになる風潮がある。こんな会話がお二人の間で交わされているのかもしれない。そう考えるとどうだろう。「頼み事が書かれていてあなたがそのとおりにしたら、政治利用ということになるのかしら。」「だってその場合、それは私の意思だよ。」「そうよね。利用するとかしないとか、私の夫は国民や政治家たちの道具のようね。失礼しちゃう。ちゃんと意思がある人間よ。」私たちへの問いが投げかけられたアキヒトとミチコの会話はフィクションでありこれすらも不敬とする人たちもいるだろう。2022/04/04

アナーキー靴下

63
空洞化する天皇への思いを映像化しようとするライターが主人公のドキュメンタリー風フィクション。もしくはファンタジーを纏いフィクションを装ったドキュメンタリーなのかもしれない。世の中の良質なドキュメンタリーは、総じて日常の中で見落としていた問題意識に気付かせる、覚えたての言葉を使うなら「異化」させることを目的としているのではないだろうか。掴みが秀逸で、前半は刺激に満ちているのだが、後半は有耶無耶だったり、よくわからなかったりする。でもそれで良いのだろう。「息づく」ということは、自分の中に抱えることなのだから。2023/06/28

楽駿

35
川崎図書館本。天皇制のありかたが、明治時代に大きく変わり、また、第二次世界大戦の敗戦で、改めて大きく変わった。天皇が現人神から、ただ人に変わったと、宣言がありながら、象徴であると決まった。政治に介入してはいけない。けれど、ご自分の意思も当然、お持ちであろうし、誰も傷つけないよう、けれど、少しでも民が良くなるよう、その公務のありかたは、なんて過酷なんだろう。どこまでがフィクションで、どこからがノンフィクションなのか、あえて、微妙に描かれているのかも。国民が大人になり、本当の声が届く日は来るのだろうか?2022/08/23

梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

21
▼皇室タブーに挑む本と紹介されており、興味深く読んだ。「カタシロ」という名前の、架空の生き物が登場する。その点からもファンタジーだと思って読むべきだ。▼明仁と美智子のやりとりは「いかにもありそうなことだ」と感じた。山本太郎など有名人が実名で登場する。本人の許可は得ているのだろうか。▼文中で、天皇の発言として「退位」という言葉が出てくる。でも実際には本人は「譲位」という表現を用いていたので、後者を用いたほうがリアルだろう。▼ハラハラする物語であったが、「カタシロ」が象徴するものが何なのかは理解できなかった。2022/05/24

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