シャギー・ベイン

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シャギー・ベイン

  • ISBN:9784152101259

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内容説明

デビュー作にして、英国最高の文学賞ブッカー賞を受賞。英語圏で100万部突破の話題作。
1980年代、英国グラスゴー。“男らしさを求める時代に馴染めない少年シャギーにとって、自分を認めてくれる母アグネスの存在は彼の全てだった。アグネスは、エリザベス・テイラー似の美女。誇り高く、いつも周囲を魅了していた。貧しさが国全体を覆っていくなか、彼女は家族をまとめようと必死だった。しかし、浮気性の夫がアグネスを捨ててから、彼女は酒に溺れていき、唯一の収入である給付金さえも酒代に費やしてしまう。共に住む姉兄は、母を見限って家を離れていくが、まだ幼いシャギーはひとり必死にアグネスに寄り添い──。

けっして生きる誇りを忘れなかった母子の絆を描く、
デビュー作にして、英米の文学界を席巻したブッカー賞受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

203
処女作にてブッカー賞受賞作ということで、読みました。イギリスの貧困層、アルコール依存症の母とヤングケアラーの息子との自伝的私小説、家族の愛の物語です。600頁超ですが一気読み、大変読み応えがありました。 https://www.hayakawabooks.com/n/nafa52dd37e402022/06/09

アン

109
1980年代、寂れた炭鉱町グラスゴー。美人で妖艶なアグネスはタクシー運転手と子連れで駆け落ちを。そしてシャギーが生まれるが理想の生活は送れず、アグネスは鬱屈さを抱えアルコール依存症の泥沼へ。DV、貧困、宗教、同性愛者差別。悲惨な家庭環境の中、破滅の道へ向かう母親を見捨てず寄り添うシャギーがあまりに健気で、男らしさに馴染めない姿と重なりとても辛い気持ちに。それでも読後にアグネスの輝く笑顔が脳裏をよぎるのは何故だろう…著者の体験が反映されているとのこと。一途な愛の深さについて考えさせられるブッカー賞受賞作。 2022/08/27

キムチ27

79
この分量、して陰惨な内容の空気と共感持てぬ展開 人物群でなかなか頁が進まなかった。1980年代の炭鉱エリア グラスゴーの架空の町。薬、アルコール、暴力とセックス。標題のシャギーの後ろに存するアグネスがヒロインという感が。エリザベス・テイラー似というから相当な美形。環境も手伝い、歩んだ途は転落、荒んだそれ。当時の男どもの典型の様なジャグ・次のユージンに弄ばれただけ・・あとはぼろきれの様に。家を飛び出せないシャギーはいわばヤングケアラー。この語、古今東西 人類と共にあった。浮かばれることの稀有な痛みを伴う。2023/01/02

ヘラジカ

73
貧困、暴力、依存症、そしてあらゆる”欠如”に取り巻かれた過酷な世界で、少年は母親へひたむきな愛情を注ぎ続ける。それが報われない不幸な結末を辿ることを、幼心に気づいていたとしても。読み通すのがとても辛い作品だったが、この時代・この国の「男らしさ」なんてものを遥かに凌駕するシャギーの強さと純真さに胸を打たれた。少年の行く末に幸多きことを願わずにはいられない。作者の経歴は物語と切り離さないで想像したい思う。色彩が広がるようなラストに、絶望のなかを生き続けることの気高さ、美しさを説かれているように感じた。傑作。2022/04/24

藤月はな(灯れ松明の火)

57
何度も図書館から借りては読み切れずに返しを繰り返した唯一の本。「誰かを愛したら愛しただけその誰かはこっちを馬鹿にするんだよ」の言葉は家庭で同じような目に遭ったからこそ、愛を担保にされる事の不信を持った私にとって心が切り刻まれるようだった。最ももう、血は流れないけど。「地獄は善意の路で舗装されている」を体現するユージーンの見栄は浅ましいとしか言えない。お陰で逆戻りした時の無惨さよ。人生は生地獄でしかないのか。それでもリアンがいてくれてよかった。ラストのダンスは解き放たれたかのように華麗で自由だっただろう。2023/04/21

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