ちくま新書<br> 日本美術の核心 ――周辺文化が生んだオリジナリティ

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ちくま新書
日本美術の核心 ――周辺文化が生んだオリジナリティ

  • 著者名:矢島新【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2022/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074607

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内容説明

西欧や中国の美術はいわゆるファインアート、権力者による威圧的な造形を主流としているが、日本美術は違う。例えば鳥獣戯画や伊藤若冲の作品のように、遊び心にあふれ見る者を楽しませる造形によって鮮烈に彩られ、「真実」よりも「美しさ」を追求し発展してきた。「わび」「素朴さ」「デザイン性」「文字との融合」「多様性の競演」……世界に類のないそのオリジナリティを、本書では縦横無尽に読み解いていく。世界の周辺文化のトップランナーとしての日本美術の唯一無二性を解析する一冊。

目次

はじめに
周辺文化ゆえのオリジナリティとは
第一章 入ってきたもの・出ていったもの
原始の造形
入ってきたファインアート
リアリズムという価値観
西欧画法の消化
入ってきた素朴な造形
南宗画の流入
近代に流入した素朴
出ていったもの
浮世絵からファインアートへ
公的な日本美術史の編纂
第二章 デザインへの傾斜
非対称
幾何学的構成
単純化・単一モチーフ
余白、あるいは無背景
黒地と金地の背景
描かないことの意図
トリミング
遠近法と構図の妙
異種の取り合わせ
第三章 そこにあるのは「美」か、「真理」か
美しさの優先
イメージの合成
建築物の描き方
見えないものを描く
短縮法に関わる問題
突き出る「手」をどう描くか
第四章 教養があってこそ味わえる
王朝文学を描く
和歌と美術
江戸町人が愛した錦絵
俳画のオリジナリティ
第五章 文字と絵の幸福なコラボレーション
文字を書き連ねて描く
絵の中に文字を組み込む
文字を絵画的手法で飾る
絵を文字のように読む
アイデアあふれる絵暦
第六章 素朴を愛する
やまと絵の素朴
教養人が描いた素朴絵
16世紀の多様なスタイル
商品としての素朴絵
教養ある絵師の素朴絵
禅僧が描いた素朴絵
南画の素朴
近代の素朴絵
創作版画と文豪の素朴絵
西欧発の素朴
第七章 わびの革命
わび茶の革命
利休の挑戦
柳宗悦の民藝
青山二郎の近代骨董
第八章 庶民ファーストなアート
造仏聖の木彫
職人による庶民のための宗教美術
地獄絵と石仏
現在進行中の近世宗教美術の発見
若い女性というマーケット
第九章 多様なスタイルの競演
アニミズムと仏教の融合
疱瘡絵・麻疹絵・鯰絵
文化の保存庫
18世紀江戸絵画の多様性
外からの刺激
江戸時代のファインアート
食から見る和の本質
第十章 周辺のオリジナリティ
ロシアの場合
イギリスの場合
朝鮮半島の場合
国内における周辺文化
東国のオリジナリティ
琉球の造形
おわりに
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

フク

22
#読了 日本美術の特徴的な要素について解説。 リアルを追求するよりも、見た目の良さや分かりやすさを優先したという指摘にスッキリ。 美術品の写真は全てモノクロなので、現物を見に行きたい。特に加藤信清の文字絵は凄まじかったので網膜に焼き付けたい。 図書館2022/04/01

9
ちょっと、理解出来ないですね、野心的な内容だと思けど…、はじめに、に全てが書いてあり、本編は肉付けです。1〜3章が、広敷を広げ過ぎの感じです。4章からは少しわからないでもない。なんだろうコトバの定義が気になるし、見方だけでの議論はうんざりです、少し期待しただけに残念です。2022/11/19

クサバナリスト

8
素朴を愛する、わびの革命、庶民ファーストなアート、多様なスタイルの競演といった、他の国や地域では見られない日本独特の美術の歴史を紐解いていく内容だった。2022/04/19

はちめ

6
日本美術の特徴を西洋のファインアートと対象的なところに求めて整理した著作。ファインアートとは、大衆芸術に対する純粋芸術とか、美しさを楽しむ技術に対する真理を求める技術といった意味合いで使われている。新書の中に幅広い日本美術を押し込んでいるため、ほとんどの図版が小さく白黒であるが、膨大な数の図版が掲載されているのでイメージが湧きやすい。やはり見たことがない美術品について言葉で語られても解らないので、本書は新しい視点もあるとともに日本美術の入門書として優れている。☆☆☆☆★2022/03/16

bijutsushitan

1
西欧と中国という世界史的な覇権国家と周縁国家である日本という図式を、そのまま権威的なファインアートと民衆的なサブカルやポップカルチャーという構図にあてはめて日本美術のオリジナリティーを説く。覇権国家足り得ない軟弱な国であることを日本美術をもとに論証しているかのようでもある。そして数ある周縁国家のなかで日本がトップランナーであるという評価軸を新たに設定することで国家の面目を保とうという発想が著者のオリジナルな部分だろうか(師匠の辻惟雄の影響下にあることが再三強調される)。2023/02/08

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