内容説明
死者800人以上に上る民衆の軍政府への抵抗の理由を、1962年からのミャンマー情勢を克明に追うことによって明らかにした決定版。NHKの道傳愛子氏が自らの経験で解説を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
K.C.
5
ビルマ(ミャンマー)の歴史と問題の所在を体系的に示す一冊。巻末のNHK道傳愛子さんの解説でスッと補助線が入る。単純な構図でないことは理解できる。ただ、最適解が何であるかはわからない。少数民族、それにカウントされないロヒンギャ、国軍、アウンサンスーチーの存在。崩壊した国家と経済にコロナ禍。何から立て直していけば良いか、全くわからなくなるのが、胸糞悪い読後感につながってしまう。とはいえ、ビルマ(ミャンマー)を知る良書であることは間違いないようだ。2022/02/06
takao
2
ふむ2022/04/05
茶
1
社会主義政権の崩壊はビルマに歪んだ無秩序な資本主義をもたらし、中国から流れ込んだマフィアは国境地帯に無法地帯を作り出している。タンミンウーは、単なる「民主化」によっては解決され得ない、歪んだ資本主義への移行というビルマの抱える病理を捉えている。それだけにタンミンウーが示すビルマが破綻国家へと転落するシナリオは十分にリアリティがある。しかしながら、彼は「奇跡も起こりうる」と本書を締めている。どんな奇跡かについては具体的に書かれていないが、それはビルマ国民の中にあるのだろう。2023/02/22
Nachchaduwa
1
著者は、国連事務総長だったウタントの孫で、国連に勤務し、その後テインセイン大統領の顧問として、諸国の首脳との外交交渉や、少数民族の武装勢力との和平交渉など実務経験が豊富です。 著書の内容は自叙伝のようでもあり、随所にエピソードが挿入されており、ビルマの歴史を俯瞰する目的で読むにはお勧めできません。その代わり、実務に従事した者だからこそ話せる関係者の苦悩が書かれ興味深い内容です。 実務者の立場から「民主化とは何か?優先すべきアジェンダを間違えていなかったか?」という問題意識の問いかけに説得力があります。2022/05/14
mura
1
軍が国民に発泡する現在のビルマ、なんでだろう。ア-ロン収容所の舞台、インパール作戦の始まりの地、色々興味があってこの本を手にとったが読めば読むほど逆にわからない国ビルマになっていった。ロヒンギャ問題にしても一筋縄にいかない。本当に謎の国。中学生のころに読んだビルマの竪琴に単純に感動してたのが懐かしい。2022/01/07