内容説明
大阪大学の5研究科共同のリレー講義「歴史学方法論講義」のためのテキスト.グローバルヒストリーは国境と地域を越えて地球的規模で展開する人類史の課題の考察であり,本書では広域支配を目指す「帝国」に焦点が絞られる.しかも,西欧中心史観を相対化するため,アメリカや西欧の帝国にとどまらず,モンゴル帝国や日本帝国も重要な柱になっている.好評を博した前著『歴史学のフロンティア』の続編.
目次
序章 グローバルヒストリーと帝国
第一章 モンゴル帝国と中国
第二章 モンゴル・シーパワーの構造と変遷
第三章 中世大越(ベトナム)の農村社会に関する比較史的検討
第四章 十八世紀のイギリス帝国と「旧き腐敗」
第五章 近代帝国の統治とイスラームの相互連関
第六章 十八~十九世紀の北太平洋と日本の開国
第七章 日清戦争論の現在
第八章 綿業が紡ぐ世界史
弟九章 チャールズ・A・ビアードの反「帝国」論再考
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よしひろ
3
従来の西洋中心から脱却した歴史の見方が響いてくる一冊。2021/07/06
湯豆腐
1
M木氏が事あるごとに「阪大歴史学の挑戦」を礼賛するのでなんぼのもんじゃいということで読んでみた。結果、なかなかに面白い。特にインド・日本・中国の綿工業を主体とした貿易がイギリス帝国を中心とした国際体制の中でアジアの相対的自立性を高めたという論は興味深かった。ただ、「グローバルヒストリーと帝国」をテーマにした本でわざわざ出さなくてもいいのでは、という論文も見受けられる。2015/05/11
某准将(珈琲好き)
0
確かにお手頃かつ多種多様な論集でした。どれもなかなか面白かった……とくにモンゴル・シーパワー。2013/05/16