岩波新書<br> ネルソン・マンデラ - 分断を超える現実主義者

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岩波新書
ネルソン・マンデラ - 分断を超える現実主義者

  • 著者名:堀内隆行
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2021/11発売)
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  • ISBN:9784004318880

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内容説明

二七年間の牢獄生活の後,アパルトヘイト撤廃に尽力,一九九四年に南アフリカ共和国黒人初の大統領となったマンデラ.不屈の生涯ゆえ「聖人」視されることも多いが,実際は冷静なプラグマティストだった.偏狭な国家主義と分断が再び広がる時代に,想像を超える「和解」を成し遂げた類まれな政治家の人生を改めて振り返る.

目次

はじめに 映画や本に描かれたマンデラ┴略語一覧┴第1章 首長の家に生まれて┴一 人間主義の「伝統」┴誕生と少年時代┴宮廷での経験┴植民地化の二五〇年┴二 ミッション教育┴キリスト教とマンデラ┴「黒い英国人」┴フォートヘア大学┴第2章 プラグマティストという天性┴一 大都会のアフリカ人┴ヨハネスブルクとマンデラ┴アレクサンドラでの生活┴ヴィッツ大学とバス・ボイコット┴二 アフリカニズムと共産主義┴改良主義の限界┴ICU、共産党、第二次世界大戦┴青年連盟┴アパルトヘイト┴共産党への接近┴第3章 非暴力主義という武器┴一 不服従運動とM計画┴住民登録法とカラードおよびトロツキスト┴インド系とガーンディー┴不服従運動┴M計画┴マンデラの人物像と指導者像┴二 自由憲章から反逆罪裁判へ┴人民会議と自由憲章┴反逆罪裁判┴離婚と再婚┴第4章 民族の槍┴一 シャープヴィル虐殺┴生体認証国家と女性たちの抗議┴PACの結成とシャープヴィル虐殺┴非常事態宣言から地下活動へ┴二 武装闘争とその帰結┴黒はこべ┴アフリカとイギリスへの旅┴逮捕┴リヴォニア裁判┴第5章 「誰もが彼に影響された」┴一 監獄の内と外┴ロベン島┴アパルトヘイトの激化┴看守たちの感化とANC┴再びの苦難の時代から自伝の執筆へ┴二 黒人意識運動からフリー・マンデラ・キャンペーンへ┴黒人意識運動┴家族への手紙┴ウィニーの「流刑」とフリー・マンデラ・キャンペーン┴三 釈放への道┴政権の硬軟両様┴暴力の応酬と交渉の開始┴二人の大統領との会見┴偶像化と背信の種┴第6章 老獪な「聖人」┴一 釈放から総選挙まで┴釈放と諸外国歴訪┴対話の進展とマンデラの役割┴紛争の調停者┴総選挙┴二 マンデラ政権┴権力の分有┴虹の国の高揚感から国民党の連立離脱へ┴真実和解委員会とその限界┴外交┴RDPからGEARへ┴終章┴大統領退任後のマンデラ┴マンデラの死とその後┴プラグマティズムの功と罪┴読書案内┴あとがき┴図版・地図出典一覧┴関連年表┴キーワード

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

102
私は感激屋で、単細胞のバカである。そんな私は、マンデラ氏を無条件に尊敬する。貫徹した強い意志、看守をも虜にする人間力、虹の国の理想、真実和解委員会の赦し等にどれだけ感動したことか。ところが、本書は、その偶像を完膚なきまでに打ち壊す。ANCと共産党の深い関係、一貫した思想なく柔軟に戦術を駆使するだけの現実主義者、外交やセレブとの交渉にうつつを抜かし「日々の政務に興味を示さず閣議を頻繁に欠席」などを突きつけられ、聖人マンデラの偶像が崩れてゆく。それが本書の目的だと分かっているが、こりゃ困ったことになった…。2021/10/04

skunk_c

78
副題が本書の内容を的確に示している。アパルトヘイトの象徴的存在としての獄中生活(南アフリカのアパルトヘイトを非難するとき、真っ先に上げられたのが彼の投獄だったことを記憶している)から、解放され選挙で勝利していくまでの動きを、むしろ投獄前から見られた「柔軟なプラグマティズム」にあるとしている。それこそ使えるものは何でも使うしたたかさが彼の最大の特徴のようだ。支配者であった白人を敵視せずに自らに取り込んでいく不思議な魅力が彼にはあったように思える。だが彼の死後その柔軟さが生んだ曖昧な部分が綻びつつあるようだ。2021/07/28

樋口佳之

60
彼をたたえる理由として、二七年もの長いあいだ獄につながれていた点を強調する。たしかにそれは、想像を絶する体験だった。だが問題は、ソブクウェやビコその他無数の人々のなかで、マンデラの苦難が特別なものではなかった/そうした無数の人々の献身に、まずは頭を垂れるべきではとも感じました。2021/12/02

あきあかね

26
 466/64という数字が、ロベン島の監獄でマンデラに与えられた番号だった。二十七年間という想像を絶する長さの獄中生活の後、アパルトヘイトの撤廃に尽力しノーベル平和賞を受賞、南アフリカで黒人初の大統領となった。 本書はマンデラの生涯の軌跡をつぶさに追い、時に「聖人」として偶像視されがちなマンデラの実像を浮かび上がらせる。世界史といえば西洋史と東洋史が太宗を占める中、自分がいかにアフリカの歴史を知らなかったかが分かる。 非暴力主義を唱えたガンジーやキング牧師などとは異なり、マンデラは武装闘争も辞さない⇒2022/02/23

崩紫サロメ

25
アパルトヘイトの撤廃、「虹の国」南アフリカの建設、と偶像化されがちなマンデラの評伝であるが、著者は南アフリカの白人を主な研究対象としており、良い意味でマンデラに「愛が足りない」(p.168)著である。マンデラの「偉大さ」は時代を超越した思想でもなく、ポストコロニアルな鋭さでもなく、「柔軟なプラグマティズム」にあると指摘する(p.157)。マンデラの非暴力主義はガーンディーの非暴力主義とは異なり、原則ではなく「戦術」の一貫であった(p.50)このようなしたたかさでなければ変え得ない国だったのだろう。2021/10/20

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