内容説明
ここは、再生の場所。
NHK BSプレミアム「山女日記3」原作小説。
幅広い層に支持されたベストセラー、待望の第2弾。「通過したつらい日々は、つらかったと認めればいい。たいへんだったと口に出せばいい。そこを乗り越えた自分を素直にねぎらえばいい。そこから、次の目的地を探せばいい。」後立山連峰 亡き夫に対して後悔を抱く女性と、人生の選択に迷いが生じる会社員。北アルプス表銀座 失踪した仲間と、ともに登る仲間への、特別な思いを胸に秘める音大生。立山・剱岳 娘の夢を応援できない母親と、母を説得したい山岳部の女子大生。武奈ヶ岳・安達太良山 コロナ禍、三〇年ぶりの登山をかつての山仲間と報告し合う女性たち。……日々の思いを噛み締めながら、一歩一歩、山を登る女たち。頂から見える景色は、過去の自分を肯定し、未来へ導いてくれる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
599
前作読み終わって早や数年、途中にドラマなども鑑賞して。去年のドラマは今作を基調にしたものらしいが、つくづく脚本がよかった。原作を山岳ガイドの主人公に絡めて、うまく回していた。景色も見事だったし。さて原作、主人公はさまざまな女性たち。年代や思考、バックグラウンドはまちまちだけれど、山を思う気持ちは同じ。わたし自身はもう「登山」は無理ながら、その雰囲気だけは味わいに、毎年上高地へ帰っている。2022/08/15
starbro
480
湊 かなえは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。7年前に読んだ山女日記シリーズ第二弾、山ガール連作短編集を読みました。白湊ですが、多少ミステリ、ラブ・ストーリーの要素があり、前作よりも楽しめました。オススメは『北アルプス表銀座』です。 https://www.gentosha.jp/article/19629/2021/11/30
さてさて
394
『岩場を前にすると、ワクワクする…星空を見上げると、知っている星座が自然とラインで結ばれる…あの美しいライン通りに登れるだろうか』。「山女日記」の続編として”再生の場所”とも言える山へ向かう女性達の姿が描かれたこの作品。そこには、四つの短編それぞれに悩みの渦中にいた女性達が何かを掴んでいく姿が描かれていました。細やかな工夫によって短編ごとに新鮮な読書を楽しめるこの作品。そんな物語の中に女性達の心の機微が細やかに描かれてもいくこの作品。湊さんの山への愛情の深さを改めて感じさせてもくれた素晴らしい作品でした。2023/07/20
旅するランナー
346
7人の女性たちの目線から描かれる、山登りの過程。僕たちも一緒に山に登っている気分になれます。そして、彼女たちの生きてきた人生を垣間見、それぞれの前向きな変化と、これから進む道への力強い意志を共有できます。次にどの山に登るか、トンカツカレーかエビフライカレーか...人生は選択の連続なのだから、その選択に悔いなく生きていきたいですね。読み終わりが近づくにつれて、この小説の雰囲気の中に自分を置いておきたい気持ちが膨れ上がります。素敵な一冊でした。2022/02/22
まちゃ
295
山に登ることは、自分の人生を辿ることなのかもしれません。苦しくても山頂を目指して一歩一歩、その合間に望む美しく雄大な景色。疲れた体と心を癒してくれる良作。期待通りでした。【舞台】後立山連峰(五竜岳・鹿島槍ヶ岳)/北アルプス表銀座(燕岳・大天井岳・西岳・槍ヶ岳)/立山・剱岳/武奈ヶ岳・安達太良山2021/12/20