内容説明
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3500年前、インドにアーリア人がやってくる前から居住していたインド先住民。そのインドの古層ともいうべき先住民文化が、彼らの土壁に描かれています。その先住民アートを追ってインド各地の村々をめぐって撮影しました。ワルリー画、ピトラ画、ビル画、ミーナー画、サンタルの壁画を収録。ジャールカンド州のハザリバーグ画を紹介する日本で初めての写真集です。そのたぐいまれな美しさ、卓越した技法、自由な世界、豊かなバリエーションをお楽しみ下さい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
27
温かい色の土壁に、石灰の白で描いた絵。建材に煉瓦を使うのを政府が推奨するようになり消えかかった文化を、外国人が惜しみ、保存を働きかけているそう。カクカクした建築フォルムに慣れた現代日本人ですが、土壁のふんわり感に和みます。藤森照信さんの建築「ねむの木学園」も、こんな感じがしたよな~と思い出しました。絵のテーマは、動物や花、人々の生活、神(精霊?)。もしかしたら…古代の日本もこんな紋様で彩られた家に住んでいたかも?と、思わず想像してしまいました。インドにアーリア人が入ってくる前から続く文化。インド、深い!2021/07/18
さすらいのアリクイ
13
著者の蔵前さんがインドの先住民の家の土壁や床などに描かれた画を撮った写真集。本のまえがき的な「インド先住民とは何か」には一部の画を除き母から娘に描き方が受け継がれること、一つの地域や村ごとで同じスタイルの壁画が描かれるが家や描く女性によって描き方は微妙に変化し個性が出ること、インドの田舎の家はレンガの家が増え、土壁の画は減少傾向にあるといった壁画のことや現状が書いてあります。文章だけではこの写真集に載っている画の不思議さ、可愛らしさは伝わらないと思うので、ネットか又はこの本でまずは画を見て下さい、ですね。2019/06/02
ジュースの素
9
蔵前さんの「分け入っても分け入っても…」を読んだ時も凄い衝撃だった。この本は、更に地域や画法を大別して美しい写真で構成している。壁や布に描かれた 生活の絵、摩訶不思議な動物の絵などその民族が持つ独特な感性の味のある絵がいっぱいだ。 中国の農民画の本を持っているが、画法も画材も暮らしの様子も違うので、全く別の風景。 蔵前さんの凄い仕事だ。2020/02/05
ぺんぐぃん
2
著者のインド関係の作品のユーモアのセンスは大好き。この写真集はそんなユーモアは排し、本当に先住民アートを知ってもらいたいという気持ちがいっぱい詰まっている。私も81年に初めてインド・ネパールに滞在していたが、先住民たちとの接触は皆無だった。著者だからこそたどり着いた世界だ。素朴で大胆な先住民アートは著者の言うとおり、アートというより祈り。住宅のレンガ化政策により、伝統的な壁画が失われてゆくのがいかにももったいない。が、先住民達にとって、大きなお世話なのかもしれない。2019/08/13
kaz
1
インド先住民が土壁に描いた美しい壁画を紹介。極めてプリミティブだが、見方によってはピカソやマティスの作品にも見えてくる。素朴さが美しい。2019/10/01