内容説明
“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象。両親を事故で亡くした日から、三咲はそんなあやふやなものに頼って生きてきた。カナちゃんとふたりで本物の怪談を見つけ出し、その怪談で両親を事故死させた男を殺すことが、いまの三咲の目標だ。
ある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にした三咲は、その真偽を調べることにする。ある川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかり、ふたりはその発生源を求めて、怪異の川をたどっていく。“本物”の怪談に近づくうち、事情を抱えるふたりの関係にも変化がおとずれて――。
選考委員の絶賛を浴びた第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
292
毎年、横溝正史ミステリ&ホラー大賞大賞受賞作は楽しみにしています。本書は、凄く怖くはありませんが、そこはかとない怖さ、最後までゾクゾク感がありました。選評にもあったように、怪談師が怪談を語るシーンは欲しかった気がします。怪談師という職業は実在しているんですね。デビュー作にしては、クオリティが高いので次作にも期待です。 https://awards.kadobun.jp/yokomizo/announcement/2021/11/08
みっちゃん
173
登場するのは「体験した者が死ぬ怪談」を探す怪談師と「呪いか祟りで死にたい」と願う女の子。何故?掴みからそそられる。選評の有栖川有栖の「怪談をモチーフにしたミステリであり、ミステリとして読める怪談にもなっている」このフレーズがこの小説の本質を言い当てているね。それでいて、ひとの生きる悲しみとか怒りとか、あるいは心の結びつき、そんな細やかな感情も過不足なく描かれていて、とても好きな筆致。次も是非、読んでみたい。2022/01/31
いつでも母さん
166
ホラー系は苦手な私だがそこまで(どこまで?)怖くない。やはり一番怖いのは生きてる人間だよね。第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作品。私が偉そうに言うのもなんだが、読み易くて完成度の高い作品だと感じた。巻末の選評まで読んでやはり!と納得。 2021/11/14
とん大西
141
数多の怪談や都市伝説の類いを絡ませたミステリーというのも斬新。怪談師三咲と同居人カナのどこか哀しくどこかドライなホラーツアー。巧い設定だなぁと感心しつつも着地点の見え辛さに苦慮。ちょいと消化不良ではあります。次作でたら再度トライしてみますが。2021/12/03
モルク
128
第41回横溝正史ミステリー&ホラー選考委員絶賛の大賞受賞作。もう期待で胸が膨らむ。「怪談師」の三咲を主人公に、人を殺す事のできる怪談をさがす彼女と、呪いや祟りで死にたい同居人カナ。「釣り上げた人が死んでしまう魚」の噂を耳にし探りにいくが…あまり怖くはなかった。その中ではホテルの話がインパクトがあった。でも、全体的に私には合わなかった。選者の総評がおもしろい。2022/03/18