ちくまプリマー新書<br> 心とからだの倫理学 ──エンハンスメントから考える

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ちくまプリマー新書
心とからだの倫理学 ──エンハンスメントから考える

  • 著者名:佐藤岳詩【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2021/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684066

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内容説明

整形で身体に手を入れてもよいのだろうか。能力や性格は薬によって変えてよいものか。変化によってあなたと社会はどうなるのか? 倫理学の観点から読者とともに考える。

目次

はじめに
第Ⅰ部 「身体」をつくりかえる?
第一章 容姿を整える――美容整形の倫理を考える
1 美容整形の歴史と現状
2 なぜ美容整形を行うのか
3 美容整形は倫理に反するか
論点一 美容整形を行う人は自分の身体を大切にしていないか
論点二 美容整形は私だけの問題か
論点三 美容整形は個性を失わせるか
論点四 美容整形は身体を不自然なものにするか
4 美容整形についてのまとめと本当の幸福
第二章 運動能力を増強する――ドーピングの倫理を考える
1 スポーツとドーピングの歴史
2 ドーピングとは何か
3 ドーピングを禁止する理由は妥当なものか
論点一 ドーピングを行う人は身体を大切にしていないか
論点二 ドーピングは不平等・不公平を理由に禁止されるべきか
論点三 ドーピングは重要な価値を損なうことを理由に禁止されるべきか
4 ドーピングについてのまとめとドーピング規制の行方
第三章 身体を機械化する――サイボーグ化の倫理を考える
1 身体の機械化をめぐる歴史
2 機械化のタイプとメリット
3 サイボーグ化がもつ倫理的問題を考える
論点一 身体の機械化は身体のモノ化をもたらすか
論点二 身体を機械化することはアイデンティティの揺らぎをもたらすか
論点三 身体の機械化は格差を広げ、不平等な社会をもたらすか
論点四 身体の機械化を通じて不死を目指すことは許容されるか
4 サイボーグ化についてのまとめと医療化の問題
第Ⅱ部 「心」をつくりかえる?
第四章 認知能力を向上させる――スマートドラッグの倫理を考える
1 心的能力の増強をとりまく歴史
2 認知能力の増強手段とそのメリット
3 薬物による認知能力の増強は倫理的に許容され得るか
論点一 スマートドラッグの使用はアイデンティティの感覚を脅かすか
論点二 スマートドラッグの許容は社会を平等に近づけるか
論点三 スマートドラッグの許容は強制の問題を回避できるか
4 スマートドラッグについてのまとめと比較不可能なもの
第五章 気分・感情・性格を変化させる――感情制御の倫理を考える
1 気分や感情、性格の操作の歴史
2 気分や感情、性格を操作して得られるもの
3 気分や感情、性格の操作の倫理的是非
論点一 薬によって作られた感情は本物の感情か
論点二 感情や性格への介入は、喜ぶべきことを喜び、悲しむべきことを悲しむことを不可能にするか
論点三 感情や性格への介入は人生の豊かさを奪うか
論点四 薬による感情のコントロールは悪しき支配欲に基づくか
4 感情・性格の変化についてのまとめと四つの論点
第六章 性を一致させる――性別移行をめぐる倫理を考える
1 性とは何か
2 性の変更を巡る歴史
3 性別を変更するとは
4 性別の変更をめぐる諸論点
論点一 「真のトランスジェンダー」が言わんとするものは何か
論点二 戸籍とは別の仕方で、社会を変えていく取り組みにはどのようなものがあり得るか
論点三 性別適合手術の実施は、性別へのステレオタイプを強化するか
5 性別の移行についてのまとめとその人自身を見ようとすること
第Ⅲ部 「人間」をつくりかえる?
第七章 遺伝子を操作する――遺伝子操作の倫理を考える
1 遺伝子操作をめぐる歴史
2 今、どれくらいのことができるのか
3 遺伝子操作技術の開発を巡る諸論点
論点一 私たちは遺伝子操作によってより優れた人類を生み出すべきか
論点二 遺伝子操作の許容は優生思想の復活につながるか
論点三 遺伝子操作は不平等を温存し、差別を助長することにつながるか
4 遺伝子操作についてのまとめと遺伝子決定論
第八章 善人をつくりだす――モラルエンハンスメントの倫理を考える
1 道徳的能力を向上させる?
2 道徳的能力のエンハンスメントをめぐる諸論点
論点一 私たちには道徳的能力を向上させる義務があるか
論点二 私たちは道徳的能力を向上させてもよいか
3 道徳的能力のエンハンスメントについてのまとめと自己決定の範囲
おわりに
あとがき

参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

50
実用化されていない技術を扱っていることに加えて、「すでに良いものをより良くする」というスローガンからして、そんなに苦しい話にはならないのではないか… しかし、研究を始めてみると、そんなわけはない(あとがき)/トロッコ問題などと違い、美容整形、気分あげる薬とかプリマーの世代にも身近なお話で良い題材だと思いました。著者が強調されている、ある行為を考える際、自分自身としての視点、社会全体の影響から見た視点、また社会全体から見た視点がどうあれ、個人の選択に強制を加えることは誰にも出来ないという話が印象的でした2021/08/23

venturingbeyond

31
『「倫理の問題」とは何か』に続いて、今年2冊目の佐藤先生の倫理学入門書を読了。前書はメタ倫理学入門だったが、こちらは「エンハンスメント」の視点でまとめられた応用倫理学入門。身体や精神のエンハンスメントについて、肯定・否定双方の主張を明確に示した上で、読者に「自分ならどうする?」、「親しい人ならどうする?」、「普及した場合の社会的影響は?」と検討を促す。全体の構成からすると少々異質なテーマだが、第6章の「性別変更」を扱った章が特にお薦め。コンパクトな分量で、このテーマの良質な入門篇となっています。2021/08/29

おおにし

30
エンハンスメントとは科学技術を使い心身機能を増強させることで、治療がマイナスをゼロにする行為に対して、ゼロをプラスにする行為をいう。本書では美容整形、ドーピング、遺伝子組み換えなどの最新の話題で、学生が討論するための基礎知識や賛否の論点がわかりやすくまとめてある。倫理学の重要な考え方の解説もあり、高校の倫理の時間にぜひ使ってほしい良書だと思う。性別移行の章ではLGBTQの解説がわかりやすく、私の知識に不備があることが判明。早速アップデートした。2021/10/11

ステビア

25
色々議論はあるが、結局大事なのは自己所有権ではないだろうか2021/12/16

ふみあき

23
美容整形やドーピング等、さまざまなエンハンスメントをめぐる論争が取り上げられるが、ほとんどの場合、「自然」あるいは「真正」であることに絶対的な価値を置くか否かに争点が収斂していくように思える。スマートドラッグだって、ハックスリーの『すばらしい新世界』や伊藤計劃の『虐殺器官』みたいな、あまりに極端な使い方に賛成する人は少数だろうし、そりゃ「チューニング理論」のような中庸(?)に落ち着くだろうな、と。ただ例外的に、第六章「性を一致させる」だけが、かなりフェミニズム寄りな主張が展開されているのに少し違和感。2021/08/14

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