内容説明
ヤンキーという言葉から、どのようなイメージをもつだろうか。時代遅れというイメージがある一方で、近年では「マイルドヤンキー」のようにマーケティングの対象として注目されたりもしている。しかし、ヤンキーと呼ばれる若者が何を考え、どのように生活をしているのか、十分な調査に基づいた書物は少ない。
大阪府の高校で3年間、〈ヤンチャな子ら〉と過ごしフィールドワークして、対立だけではない教師との関係、〈インキャラ〉とみずからの集団の線引き、家族との距離感を丁寧にすくい上げる。そして、高校を中退/卒業したあとの生活も調査し、大人への移行期に社会関係を駆使して生き抜く実際の姿を活写する。
集団の内部の亀裂、地域・学校・家族との軋轢、貧困や孤立――折り重なる社会的亀裂を抱える若者の「現場」から、分断や排除に傾かない社会関係の重要性を指し示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
39
長年の積読を解消。読み応えあり。それにしても一つの研究を成すためにはたくさんの先行論文に当たらなくてはいけないのだなとしみじみ。2020年代の今はむしろ「ヤンチャ」に相対する存在として本書ではさらっと紹介されていた「インキャラ」について詳しく知りたい。 2025/08/17
katoyann
20
「ヤンチャな子ら」(いわゆる「ヤンキー」)が多く在籍する高校のフィールドワークと彼らへのインタビュー調査を基にした社会学の研究書。ヤンキー文化の先行研究は、集団内の相互行為に焦点を当て、その文化の独自性を浮き彫りにしたが、本書では階層・階級論とジェンダー論の研究知見を取り入れ、外部社会の規範の影響を分析している。非正規化が進み、貧困層が増える中で、男性性の規範を受容しているからこそ、彼らは相対的剥奪感を覚えるという結論が圧巻。日本の社会学史に残る一冊となると思った。2023/03/02
モルテン
16
なぜ、今までこのような研究がなされてこなかったのだろう、と思った。著者が高校で参与観察を行い、そこで出会い、観察し、話をした〈ヤンチャな子ら〉を通してヤンキーを研究している。序章で著者が述べているとおり、『ハマータウンの野郎ども』の日本版である。「そうそう、そうだよね」と頷くことばかりで、普段、うっすら感じながら言葉にできていなかったことを的確に言葉にしてもらった感覚。特に、ヤンキーは「メディア・ストリート空間」、「社会空間」、「学校空間」それぞれ三つの力学に影響を受けているという説明にはスッキリした。→2019/01/31
JunTHR
6
まさかの一気読み。『暴走族のエスノグラフィー』『ハマータウンの野郎ども』を中心に、多くの過去の研究が参照されるが、それでは不足があるので新たな座標を示そうという意気込みが熱い。その分析は、単一的な視点を避けた重層的なものだが、素人が読んでいても十分に明快でもある。 〈ヤンチャな子ら〉の具体的なエピソードや語りの分量は多くはないが、どれも印象的。教室の隅に座っての参与観察を成り立たせ、〈ヤンチャな子ら〉と継続的な関係を築いたことにも驚く。 上間陽子の学生だったとのこと。打越正行『ヤンキーと地元』も楽しみだ。2019/03/18
令和の殉教者
3
「ヤンチャな子」と呼ばれる生徒たちがいる。外側から見ていると、素行不良だったり、土建や夜の街でバイトをしていたり、貧困だったり、、、こんなイメージで一括りにしてしまいがちだ。しかし、中に入ってみると違う事情が見えてくる。片や家庭や地元をアイデンティティや生活の基盤とするもの。片や寄る方なくヤンチャグループに流れ着いたもの。他者を「インキャラ」などと呼ぶことで「俺ら」と差異化してはいるものの、彼ら内部にはそうした亀裂があった。そしてそれは社会関係資本として、グループ内の振る舞いや進路選択に影響している。2021/10/10
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