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内容説明
『日本百名山』の著者、深田久弥が、山旅での思いを四季の順に沿って44編、並べた紀行・随想集。
登場する山は北海道の日高山脈から東北・下北半島の山、北上山地、出羽三山、日光戦場ヶ原、
越前の山、餓鬼・唐沢岳、有明山、焼額山、高峰と草津など、「日本百名山」の選外の山が中心だが、
紀行文の間に挿入された随想のなかに当時の登山界を鋭く見つめる深田の批評的精神が読み取れて興味深い。
物質文明やモータリゼーションへの批評などがそこに鋭く描かれている。
「登山は運動会ではない。ぞろぞろ行列して登るのは、私の趣味にあわない」「『登山はスポーツである』という表現を私は好まない」
「寸時の休憩にもカメラの操作に忙しくては、風景が心に残る暇がない。むしろ私はカメラ無しの登山を勧める」
「今の人はバスで直ちに山麓まで運ばれてしまうから、その道中の楽しさを知らない。つまり今の登山者は、山登りという一種の勝負にしか関心がなく、それまでの道中は無駄なものとしか見えないのだろう」。
深田久弥の山に対する思いを歯に衣着せぬ筆致で描いた随想集として、百名山ファン必読の一冊といえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっちゃん
9
50年前に山の環境破壊、登山のスポーツ化を嘆く深田久弥。あなたが選定した百名山は今も大人気、山の開発は当時がピークで環境保全がすすんでる。ギアの進化によりスポーツ感覚の登山も可能になりました。昔は良かった的なエッセイですがたしかに羨ましい部分が多い。2022/06/29
Kママ
3
ただ登頂することだけを目的とするのではなく、訪れた地域の歴史、文化に興味を持ち、先人たちの表現に思いを巡らす。'わが山旅'という言葉にも、登山だけでなく旅全体が目的となっていることが現れている。登山口まではできるだけ早く行こうとする今の登山は山旅とはいえないだろうと反省する。 表紙もきれいで本棚に並べたい本。2021/10/07
むずむず
2
父が好きな「山」と我々が言う「山」に違いがあるのではないかと思った。公共交通機関が山奥まで開通していない時代で、登山口に辿り着くのも時間がかかっているが、登山人口も少なく、人工物が少なく、見渡せる景色が今とは随分違うだろうなと想像できる。手軽でおしゃれになった現在の登山の良いところもあるが、昔の良さはもうない。父の感想が聞いてみたい一冊。2023/02/20