内容説明
貧乏暮らしあり浮気ありで五十年、放浪詩人とその妻はよき相棒。金子の日本論、女性論から交友録、森のパリ印象記、金子の肖像など、二人の自選によるベストエッセイ集。金子の遺著となった単行本に全集未収録の夫婦往復書簡(一九三九年)を増補。
〈巻末エッセイ〉森 乾
■目次
【金子光晴】
Ⅰ
ひげのある人生/明治の青年を苦しめたもの/江戸につながるなにものもなく/日本人について/番付の心理/いやな思いをした昭和という年号
Ⅱ
私小説/伝統の芸能/日本の大衆芸人と番付/秋の日記/血と地につながるもの/ちょんまげのこと/『コスモス』雑記
Ⅲ
萩原朔太郎について/高村光太郎との僅かなかかりあい/清親のこと/吉田一穂のこと
Ⅳ
女について/なおも、男・女などをめぐって/若さと老年と/日本人のフェミニズム/着物を がれた女達/女体の豊饒を描く/日本人よ淫なれ
【森三千代】
Ⅰ
巴里郊外の青春/巴里の秋色/白/血を抱く草/仏印の文学/アンコール・ワットへの道
Ⅱ
和泉を憶う/わたしの大休暇/香木の話/志摩を思う/金子光晴の横顔I/金子光晴の横顔Ⅱ/父の心/老母の手/きのうきょう/若葉よ、妹が生れた/若葉の夏休みのレポートに添え/なつめと共に/なつめとの対話/若葉のいる正月
跋 (金子光晴)
金子光晴・森三千代往復書簡(一九三九年)
巻末エッセイ 父と母の想い出に(森乾)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
なおこっか
5
巻末で息子の乾さん(例の小イカで思い出される“坊や”だ)が金子光晴の晩年は幸せで、「老いてもなおみずみずしい眼で汚濁の世相を斬る反体制の旗手として、特に若い世代の共感を得た」と書かれているが、私もまんまと“格好良い”金子光晴に惹かれてしまった。若くないけど。家族を振り回してしまう枠にとらわれない姿の片鱗は、森三千代の短い文章に垣間見られるだけである。一方の森三千代の文章を読んだのはこれが初めてで、正直彼女の魅力はこれだけではわからなかったが、「血を抱く草」の着眼は少しいいなと思った。2021/12/13
勝浩1958
4
いろいろなことがあったのですが、お互いに認め合っていた二人なのですね。2021/11/20