文春e-book<br> 台北プライベートアイ

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文春e-book
台北プライベートアイ

  • ISBN:9784163913674

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内容説明

台湾発、私立探偵小説の新たなる傑作が登場!
監視カメラの網の目をかいくぐり、殺人を続ける犯人の正体は?

劇作家で大学教授でもある呉誠(ウ―チェン)は若い頃からパニック障害と鬱病に悩まされてきた。
ある日、日頃の鬱憤が爆発して酒席で出席者全員を辛辣に罵倒してしまう。
恥じ入った呉誠は芝居も教職もなげうって台北の裏路地・臥龍街に隠遁し、私立探偵の看板を掲げることに。
だが、にわか仕立ての素人探偵が台北中を震撼させる猟奇事件・六張犂(リュウチャンリ)連続殺人事件に巻き込まれ、警察から犯人と疑われる羽目に陥る。
呉誠は己の冤罪をはらすため、自分の力で真犯人を見つけ出すことを誓う。
監視カメラが路地の隅々まで設置された台北で次々と殺人を行い、あまつさえ呉誠の自宅にまで密かに侵入する謎のシリアルキラー〈六張犂の殺人鬼〉の正体は?

探偵VS犯人のスリリングなストーリー展開と、ハードボイルド小説から受け継いだシニカルなモノローグ、台湾らしい丁々発止の会話。
台湾を代表する劇作家が満を持して放った初めての小説は台湾で話題を呼び、
台北国際ブックフェア大賞を受賞したほか、フランス、イタリア、トルコ、韓国、タイ、中国語簡体字版が刊行された。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

旅するランナー

258
台湾版トマス·ピンチョン(まあ、そんなに読んだことはないけど…)。自分自身や人生に嫌気が差した大学教授兼劇作家が、隠遁生活のために私立探偵になるところから始まります。そして、なんやかやあって、台湾を驚愕震撼させる連続殺人事件に巻き込まれます。主人公のウダウダしたネガティブな思考や、台湾文化とか連続殺人犯とか宗教とかに関する考察が、病みつきになってきます。台湾では出版済みの続編も楽しみです。2022/05/27

とん大西

141
ハードボイルド気取りのやさぐれ中年男。前職は大学で教鞭をとる台湾演劇界の重鎮。ある日、思い立ち、全てを断捨離。覚醒か凋落か、台北の片隅で私立探偵を開業した呉の七転八倒と東奔西走の捜査行。頁数以上に長さを感じたのは呉のクセ強めな自分語りが随所にみられたからか。ある意味「探偵物語」の松田優作とオーバーラップするようなオトボケとシリアスはこの物語の持ち味かもしれないが。驚愕のトリックがあるわけでもない。それでも、キャラだちしてて、雰囲気も悪くないだけに、やはりもっとコンパクトなら全体が締まって良かったかも。2021/09/01

seacalf

114
軽口叩きの探偵は大好きだけど、主人公の独白がまあ長いこと。冗長過ぎて閉口したが、作者は主人公と同じく演劇畑の人で、スランプ時に戯曲から推理小説という形で思いの丈を吐き出したのが本作ということ。むべなるかな。大学教授から一転した素人探偵の活躍だけでなく、台湾社会を内側から垣間見せてくれるのも見所のひとつ。厄落としに火を跨ぎ、猪脚麺線を食べるなんて描写があるけれど、知人の台湾人に聞いたら今の若い人はあまりやらないらしいので、台湾人論も含めて全ては鵜呑みに出来ない。とはいえ割と好きだったので次作も読んでみたい。2022/05/07

ずっきん

106
ひゃー滅法面白かった。人を救って自分を救う!元大学教授のインテリ呉誠が台湾の下町で私立探偵の看板を上げた。もー、二段組で喋る喋る。文体も人物もいわゆるハードボイルドじゃないからご注意。繰り広げる自説、散りばめる引用、台湾の生活臭。ミステリというより台湾社会小説の側面が強い。ああ、このおっさんがどんどん好きになる。台湾に行きたくてたまらない。冗長とかうざいとかのレビューが散見されるけれど、そこにこそこの小説の面白さがあると思う。楽しいと読み応えが両立する小説は存外少ない。続編の翻訳されるかな。是非読みたい!2022/03/04

goro@80.7

97
妻とも別れ演劇界も離れ人と関わりたくないと言いつつも坩堝のような街で探偵稼業を始める元大学教授の呉。現代台湾の事情や呉さんの行き場のない憤りも含め楽しめました。一人になり切れず愉快な仲間が増えて行くのもこの街だからでしょうか。異色のド素人探偵登場!?いつの間にか連続殺人事件に巻き込まれ、ここから怒涛の展開で読み切らせたね~。しかしというかやっぱりというか、恋しちゃうんだよね。分かるわ~。第2弾も出ているそうだけどこの街から引っ越しちゃって愉快な仲間たちとはどうなっちゃうのか気になるなぁ~。2022/04/30

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