内容説明
患者の固有な「生」を支える! 看護職、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、医師ら、その独自の営みと、協力関係が持つ意義を訴える。その人らしさを生かしたケアをするという当たり前のことが実現できていない現在、看護職や医師らはどのようにすることが必要なのか。本書は、二つの病院改革を事例に今まで医師が専有していた患者の情報を共有する場を持つ重要性を主張する。看護職らも包括的に患者の状態を理解し、医師に対して問題提起できるようにすることが、患者に利益をもたらすようになるという。
目次
序章 臨床現場と社会学の対話
第一章 他者の「生」を支えようとすること
1 対人専門職が直面した「壁」──阪神・淡路大震災でのボランティア経験
2 ケアの難しさ
第二章 キュアからケアへ
1 現代の医療専門職
2 専門職論とその限界
3 患者へのケア──技法VS.倫理
4 医療専門職にとってのケア──平等VS.階層制
第三章 その人らしさを生かすために──看護職による患者への働きかけ
1 すれちがい
2 拒む患者
3 応えられない無力感
4 限定性を乗り越える過程
第四章 ケアを支える医療専門職間関係
1 「患者中心」と自律性──看護業務整理に基づいた病院改革
2 医師を交えた相補的自律性──クリニカル・パス導入を通した病院改革
3 ケアと自律
終章 ケアの社会学へ向けて
補遺 調査の概要
あとがき
参考文献
索引
<読者の声> とても参考になりました。現在看護師の職業世界について論文を執筆中で、論考としては類似本の中でも秀逸。次回作を期待しています。(男性 38歳 大学教員)