講談社選書メチエ<br> 夢と虹の存在論 身体・時間・現実を生きる

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講談社選書メチエ
夢と虹の存在論 身体・時間・現実を生きる

  • 著者名:松田毅【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 講談社(2021/04発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065228685

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内容説明

『なぜ世界は存在しないのか』でその名を轟かせたマルクス・ガブリエルをはじめ、「哲学」が注目を浴びることが多くなっています。出版界を眺めれば、古典や現代哲学の日本語訳、初心者向けの入門書、専門家の研究書などなど、幾多の書籍であふれかえり、何を手にすればいいのか、本当に「哲学する」ことを教えてくれるのはどの本なのか、すぐには分からないのが現状だと言わざるをえません。本書は、実力者として知られる著者が、入門書から一歩でも二歩でも先に進み、自分自身で「哲学する」ことを求める人に向けて、そのために役立つモデルを提供するものです。
哲学を始めるには、まず過去のさまざまな哲学者たちの議論を知ろうとすることでしょう。そのための入門書や解説書はたくさんありますが、そこで展開される思考が、今ここで生きている自分と、あるいは自分が生きているこの現実と、どのように切り結ぶものなのかは、誰も教えてくれません。本書でも、デカルト、スピノザ、ライプニッツといった17世紀に生きた哲学者たちを取り上げますが、目的は彼らの思想を手軽に知ることではなく、それを自分の問いにするとはどういうことのなのかを示すことにあります。
本書が表題に掲げる「夢」と「虹」は、いずれも、存在しているのか、存在していないのかを明確には言うことのできない、曖昧なものです。「夢」については、第I章で取り上げられる『千一夜物語』の「目覚めて眠る男」が恰好の題材になります。それは、バグダードを舞台にして、ハサンという男がカリフ(イスラームの最高指導者)のアル・ラシードに騙される物語です。酩酊から醒めたとき、ハサンはカリフとして丁重な扱いを受けます。これはアル・ラシードが悪戯で命令したからなのですが、はじめは困惑していたハサンも徐々にその気になり、自分は本当にカリフなのだと思うようになるのです――さて、ハサンが体験したのは「現実」なのでしょうか、それとも「夢」なのでしょうか。ここには、まさに「哲学する」ための最高の問いがあります。
本書は、このように「夢」と「虹」という題材から始め、さらには「身体」と「時間」という私たちとは切っても切れないものに進んで、最終的には「存在」を取り上げ、マルクス・ガブリエルの議論と対決します。各章の末尾には、みなさんが「哲学する」ための練習問題を設けることで、さらなる一歩にいざなってくれるでしょう。中には難しいところもあるかもしれません。でも、本書を手ががかりにして根気よく思考していったとき、そこには見たこともない光景が広がっていることでしょう。

[本書の内容]
第I章 夢――デカルトとライプニッツから始める
第II章 虹――現象と幻想の存在論的距離
第III章 私の身体――因果と表象の二重性
第IV章 時 間
第V章 現実の存在論

目次

第I章 夢――デカルトとライプニッツから始める
1 デカルトの夢論証
2 夢論証の現代的解釈
3 ライプニッツの夢論証
4 夢のヴィジョン
第II章 虹――現象と幻想の存在論的距離
1 虹の科学
2 バークリ
3 ライプニッツのバークリ批判
4 総和と総体
5 具体的なものの存在論
第III章 私の身体――因果と表象の二重性
1 デカルト
2 スピノザからライプニッツへ
3 関係主義の存在論
4 複雑性
5 様相存在論
第IV章 時 間
1 観念的存在としての時間
2 現実的時間
3 カイロス的時間
第V章 現実の存在論
1 現実の逆説を生きる
2 エネルゲイアとしての物語る力
3 可能性と現実性の存在論的差異
4 世界の唯一性の存在論

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

8
後半ガブリエルの、世界は存在しない、形而上学か指示する対象は存在しないとする無世界論を説明する。「合意を目指す討議は、最終的になにを拠り所とするのか不明に生るのではない、という危惧が生じるでしょう。もちろん統制的理念の意味での世界を持ち出さなくとも、合意を目指した討議は可能ですし、討議で統制的理念が機能する保証もありませんが、物語る力と現実の存在論の政治課題から考えるとき、複数の物語や説明が競合して両立しない場合、そこに共通の基盤がないなら、討議する意思さえ生じなくなるのではないか、という疑念が生じます」2022/01/19

ミチル

2
通読してみると面白い。 基本はライプニッツからの議論が多い。 想定読者を非初心者で非プロとしているせいか微妙に読みにくい文体と構成に思われた。妙な癖がある。 説明されず導入される語彙がやや多い。 夢の議論は現実(本当さ)と対比する夢。 虹はあの虹。2021/06/04

Go Extreme

1
夢―デカルトとライプニッツから始める:デカルトの夢論証 夢論証の現代的解釈 ライプニッツの夢論証 夢のヴィジョン 虹―現象と幻想の存在論的距離:虹の科学 バークリ ライプニッツのバークリ批判 総和と総体 具体的なものの存在論 私の身体―因果と表象の二重性:デカルト スピノザからライプニッツへ 関係主義の存在論 複雑性 様相存在論 時間:観念的存在としての時間 現実的時間 カイロス的時間 現実の存在論:現実の逆説を生きる エネルゲイアとしての物語る力 可能性と現実性の存在論的差異 世界の唯一性の存在論2021/05/17

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