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内容説明
「革新」的経済学の全貌
MMT(現代貨幣理論)が現代経済学のパラダイム・シフトを推し進める状況下、その鍵を握る重要人物としてハイマン・ミンスキーへの注目がかつてないほど高まっている。
ミンスキーと言えば、これまで「金融不安定性仮説」を中心に理解されてきた。先の金融危機でも「ミンスキー・モーメント」ないし「ミンスキー・クライシス」という言葉が金融関係者の間で囁かれた。
ミンスキー自身、金融的ケインジアンと呼ばれることを好んだものの、それは壮大なミンスキー理論の一端にすぎない。本書では、ミンスキーを「不均衡」「不安定性」という観点から読み解く。
とりわけ「安定性が不安定性を生み出す(Stability is destabilizing)」という彼自身が残した印象的な言葉を繰り返し省みる。これにより、「均衡」をベースに構築された正統派経済学に対する「異端派」としてのミンスキーの立ち位置が鮮やかに浮かび上がる。
さらに、従来、全く見落とされてきた「最後の雇い手」という、貧困と失業に対するミンスキーのアプローチを本書ではしっかりと位置付けている。ミンスキーの弟子かつMMTの旗手がその源流に向かった最良の入門!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
人生ゴルディアス
7
名前だけは度々見かけたが未読のミンスキー。副題が「MMTの源流へ」とあったので、警戒して読む。基本的には「民間・国家・貿易の収支総和はゼロ」「法定不換紙幣は国家が税として需要を作り出せる(から無価値になり得ない)」「信用(貨幣)は無から創造できる」の組み合わせから、昨今バズっている意味でのMMTが導かれたのだろう。なんか、論理哲学論考から論理実証主義が導かれた様子を思い出すな。とはいえ国家財政・民間家計・貿易収支の総和がゼロなら、民間のために赤字を出すべきは国家、という議論はある意味穏当なのかもしれない。2021/08/14
ぱぴ
2
MMTとリフレ派の違いを明確に知りたくてミンスキーの理論を学ぶ。現代資本主義の内的ダイナミクスによる多大な影響力、安定が不安定性を生み出し、最終的に大きな政府と中央銀行による救済があることで新たな危機を呼び起こすメカニズムについて詳細に記されている。負債に偏りがちな民間投資よりも安全資産である政府の支出を重視し、インフレリスクの高い総需要政策よりも半景気循環的に働く効果を持つ直接の雇用創出案を提唱。資本主義は人類の進歩に画期的だが、社会構造の熟知と個人の持つ道徳心が常に試される理由が根本から理解できる。2022/11/12
好奇心の横断歩道を渡る!
2
ランダル・レイが書いたからかもしれないが、やたらとMMTっぽい。源流というか、違う部分が少ないというか。法人所得税に対するスタンスは違うかな。///「社会保障と呼び水政策の組み合わせは、不安定性を増大させかねない(だからベーシックインカムには消極的)」「雇用プログラムを使って完全雇用を実現すれば、景気安定化や労働者の技能向上と生活習慣の維持が期待できる」といった発想はそのままMMTに受け継がれている。財政支出とGDPがそこそこ伸びている一方で格差拡大がますます進む、米国の事情を想定した政策提言が多めかも。2022/01/12
嶺滝
1
私がこの本を読んで考えたことは、安定が次の不安定を生むといったことである。なぜなら、安定しているからこそ、危険なものに挑戦するようになる。これに対して規制当局も規制をするが、金融機関などは規制の抜け穴を使い、失敗した際には政府が助けてくれる。だから、より危険度の高い挑戦をするようになった。その結果がリーマンショックの時の対応に至っているのではないかと考えられる。この本は難しいが、読んでみると面白いので、オススメだと思う。2021/07/30
Go Extreme
1
ウォール街の思考枠組み それは再び起こった 世界金融恐慌の教訓 主流経済学者によるミンスキーの発見 軽額学者の自白 経済学のビジョン ミンスキーの主な貢献の概要:貨幣と金融機関 金融不安定性仮説 最後の担い手 われわれはどこで間違ったのか? マクロ経済学と選ばれなかった道 ミンスキーの初期の貢献―金融不安定性仮説 貨幣と銀行業務に対するミンスキーの考え方 貧困と失業に対するミンスキーのアプローチ ミンスキーと世界金融危機 ミンスキーと金融改革 結論―安定性、民主主義、安全および平等を促進するための改革2021/04/20